映画【ポリス・ストーリー/レジェンド】感想(ネタバレ):クラブハウスに閉じ込められた緊迫の物語、回想シーンが彩る深いドラマ

Police Story: Lockdown
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●こんなお話

 娘さんに呼ばれてジャッキーがクラブハウスに行ったら、オーナーがいきなり武装して人質籠城事件を起こしちゃったもんで、ジャッキー持ち前の正義感でみんなを救おうとする話。

●感想

 物語の序盤は、父親であるジャッキーが仕事に打ち込みすぎて家族を顧みなかったため、娘さんとの関係がぎくしゃくしている様子が丁寧に描かれます。亡くなった奥様に対する複雑な思いが娘の心に影を落としていることも、じんわりと伝わってきました。

 ところが、物語は突然大きな転機を迎えます。クラブハウスのオーナーが人質を取って籠城し、ジャッキーもその中に捕らわれてしまいます。犯人は一体誰なのか、またその行動の目的は何なのかが徐々に明らかになっていく展開は見応えがありました。

 ほとんどのシーンがクラブハウス内で繰り広げられ、画面上の動きが限定されるため、物語の進行にやや停滞感を覚える場面もありました。ただ、その間に挿入される回想シーンでは若き日のジャッキーのアクションが存分に楽しめ、ここは作品の見どころ。しかし現在の時間軸の物語が一時停止したかのように感じられ、全体的な躍動感が薄れてしまったことは惜しまれます。

 「お前はあの事件の……」「いや違う。○年前の事件だ」といったやり取りが繰り返される回想の連続も、少々繰り返し感が強く感じられました。そのうえで、徐々に明らかになっていく犯人の真の目的や、主人公と犯人、人質たちの複雑な関係は興味深く、深く考えさせられました。

 物語の中では、それぞれの立場からの責任の取り方や見て見ぬふりをする問題が丁寧に描かれていて、犯人の主張には共感できる部分も多く感じました。5年前の事件とクライマックスの構図が見事に重なる点も、作品のテーマをうまく表現しているように思います。 

 ただし、5年前の事件の恋人が明らかになるくだりは偶然が過ぎてしまい、タトゥーによる発見という展開が少し現実離れしていて、不意に笑ってしまいそうになりました。

 回想をメインに据えた構成は新鮮で面白い試みではありましたが、物語の動きが少なめで、少し物足りなさを感じる部分もあった作品です。

☆☆☆

鑑賞日: 2014/06/07 TOHOシネマズ南大沢  2015/02/10  TSUTAYA TV

監督ディン・シェン 
脚本ディン・シェン 
出演ジャッキー・チェン 
リィウ・イエ 
ジン・ティエン 
グーリー・ナーザー 
リュウ・ハイロン 
ジョウ・シャオオウ 
ユー・ロングアン 
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