映画【ポカホンタス】感想(ネタバレ):北米の自然と文化が織りなすアニメーションによる感動の異文化交流物語

Pocahontas
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●こんなお話

 ネイティブアメリカンと入植者の恋の話。

●感想

 物語はロンドンから始まる。新大陸に眠ると言われる黄金を求めて、冒険家たちが大海原へと旅立とうとしている。その中には勇敢な兵隊である主人公の姿もあった。舞台は北米大陸へと移り、そこで先住民族の酋長の娘が動物や精霊たちと共に静かに暮らす様子が描かれる。彼女の自然と調和した生活は、映画の中で美しく繊細に映し出されている。

 やがてイギリス人の入植者たちが新天地に押し寄せ、主人公もまたその一員として先住民の土地へと足を踏み入れる。偶然の出会いから、イギリス人の主人公と先住民族の娘は徐々に交流を深めていくが、入植者たちは土地を自分たちのものだと主張し、無遠慮に自然を破壊し始める。先住民たちは白人への恐怖を抱きつつ偵察を試みるが、その行動がきっかけとなって武力衝突が発生し、負傷者が出てしまう。対立はますます激しくなっていく。

 そんな中、双方の主人公たちは争いを止めようと話し合いを試みるものの、別の先住民と入植者の衝突が新たに起こり、先住民が殺害されるという悲劇が襲う。白人の主人公は捕えられ死刑宣告を受けるが、先住民の主人公が命をかけて救い出そうとする。その勇気ある行動を見た酋長は銃を下ろすよう命じ、周囲の白人たちも和平を選ぶ。だが白人のリーダーは最後まで銃を手に取ろうとするも、白人の主人公が身を挺して負傷し、その場は収まる。

 物語は主人公同士の別れの決断で幕を引く。共に歩むのか、離れるのかという選択は、物語の余韻を深く残すものでした。

 北米大陸の雄大な自然が美しいアニメーションで描かれている点は特に印象的です。そこに王道のロミオとジュリエット的な悲恋の要素が巧みに織り込まれ、深みを添えています。主人公たちがあっという間に心を通わせ、文化の違いを超えようとする姿には心を打たれました。クライマックスの死刑宣告の場面も、主人公の勇気が酋長の決断を変え、和平へとつながる展開はスムーズで見応えがありました。

 しかしラストで主人公たちが別々の道を選ぶという結末は、観る者に強い印象を与えます。悲しくも静かな別れの決断が、この作品のテーマである異文化理解と和解の難しさを表しているように感じました。

☆☆☆

鑑賞日:2023/05/16 Disney+

監督マイク・ガブリエル 
エリック・ゴールドバーグ 
脚本カール・バインダー 
スザンナ・グラント 
フィリップ・ラズプニック 
トム・シトー 
出演アイリーン・ベダード 
ジュディー・クーン 
メル・ギブソン 
デイヴィッド・オグデン・スティアーズ 
ラッセル・ミーンズ 
リンダ・ハント 
クリスチャン・ベール 
ビリー・コノリー 
ジョー・ベイカー 
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