映画【パール・ハーバー】感想(ネタバレ):真珠湾攻撃と若きパイロットたちの愛と友情

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●こんなお話

 主人公3人の気まずい恋愛と真珠湾攻撃とドゥーリトル爆撃までの話

●感想

 幼なじみである2人の若者が空への憧れを胸に抱き、パイロットになる夢を追いかけるところから物語が始まります。主人公がパイロット訓練を受けるための健康診断で視力に問題が見つかるシーンでは、親友の支えによって危機を乗り越えたり。

 その後、主人公は病院で出会った看護師に恋をし、彼女との距離を縮めようと努力しながら、やがて恋人関係へと発展。しかし、第二次世界大戦が本格化するなか、彼はイギリス軍のパイロットとして戦地に赴くことになります。2人の関係は文通を通じて続きますが、戦場での激しい空中戦の末、ドイツ軍に撃墜され戦死と報告されてしまいます。彼の死を知らされた看護師と親友は大きな悲しみに包まれ、やがてお互いを支え合うなかで恋愛関係になる。

 一方、物語の背景では、日本軍による真珠湾攻撃の計画が進行しており、アメリカ軍が警戒を強めるなか、具体的な攻撃目標がつかめずに混乱が続きます。そんな最中、戦死したと思われていた主人公が奇跡的に帰還し、看護師と親友の関係を知って激昂。三人の間に深い溝が生まれ、殴り合いの喧嘩にまで発展。

 そして、日曜の朝に突如として始まった日本軍による真珠湾攻撃へと移行します。戦艦が次々と撃沈される中、主人公たちは反撃に立ち上がり。圧巻の映像と共に、ルーズベルト大統領による宣戦布告の演説が挿入され、物語は新たな局面を迎える。

 その後、主人公と親友には極秘任務が与えられ、日本本土への爆撃作戦に参加することになります。訓練を経て任務を遂行し、軍需工場を爆撃した後、中国本土への着陸を試みますが、そこでは日本軍の襲撃に遭遇。親友は主人公を守るために戦い、命を落とす。

 物語のラストでは、帰還した主人公が再び看護師との関係を取り戻し、彼女と子どもを連れて、夕陽の中を飛行機で飛ぶという象徴的なラストシーンでおしまい。

 特筆すべきは、何十分にもわたる真珠湾攻撃のシーンの迫力で、戦艦の爆発や空母の攻防、緊迫感あふれる空撮など、映像技術の粋を集めたシークエンスは圧巻で、観客を戦場に引き込むような臨場感がすごかったです。

 ただし、真珠湾攻撃という歴史的な大事件と、主人公たちの恋愛ドラマがあまりにも切り離されており、両者の関係性が薄く感じられる点は惜しいところです。主人公たちの人間関係に感情移入できなければ、どれほど映像が迫力に満ちていても、心が動かされることは難しかったです。

 また、恋愛描写の展開が非常に早く、主人公と看護師、親友と看護師が立て続けに恋に落ちてしまうため、それぞれの感情の移り変わりに納得できるだけの丁寧な描写が不足しているように感じました。人が誰かを本気で愛し、そのために命を懸けるとはどういうことなのか。友情と愛情の狭間で揺れる若者の姿をもっと掘り下げて描いていれば、より共感できる物語になったのではないかと思いました。

 美しい風景やきらびやかな舞踏会、ロマンティックな囁きのシーンが続く一方で、物語の本質的な重みが薄く、感情を揺さぶられる瞬間が少ないのも残念でした。加えて、日本軍の描写がステレオタイプかつ現実離れしており、歴史的な側面から見ても説得力に欠ける部分があります。

 結果として、本作は180分という長編でありながら、その多くを戦闘シーンに割かれ、肝心の人間関係や内面の葛藤を丁寧に描く時間が少なかった印象です。迫力ある映像だけでなく、登場人物たちの心の動きにしっかりと寄り添う脚本があれば、より深い感動が得られたかもしれません。

☆☆☆

鑑賞日: 2012/03/17 DVD 2024/07/26 Amazonプライム・ビデオ

監督マイケル・ベイ 
脚本ランダル・ウォレス 
出演ベン・アフレック 
ジョシュ・ハートネット 
ケイト・ベッキンセイル 
アレック・ボールドウィン 
キューバ・グッディング・ジュニア 
ジョン・ヴォイト 
ダン・エイクロイド 
トム・サイズモア 
ユエン・ブレンナー 
ジェームズ・キン 
コルム・フィオール 
マコ 
ケリー・ヒロユキ・タガワ 
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