映画【ある用務員】感想(ネタバレ):ヤクザと殺し屋が学校に乱入!日常と非日常が交錯するハードアクション映画

JANITOR
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●こんなお話

 ヤクザの大物の娘を守る用務員と殺し屋たちの戦いの話。

●感想

 1人の男性が目の前で殺害されるという衝撃的なシーンから始まり。その現場には、事件を目撃してしまった幼い少年が一人。少年はその後、大物ヤクザと思しき男性に引き取られ、彼の庇護のもとで育てられることになります。

 時は流れ、物語は現代の高校を舞台に進んでいきます。女子高生と、彼女の幼なじみの男子高校生が一緒に下校していると、突然、女子高生の父親である大物ヤクザが迎えに現れます。父親は娘に甘く、どんな願いも叶えてあげると公言するほどの過保護ぶり。

 主人公は学校の用務員として働いていますが、実はその大物ヤクザから密かに娘の護衛を任されており、日々、彼女の様子を注意深く見守っています。娘の緊張や悩みに耳を傾け、まるで心の支えのような存在。

 一方で、大物ヤクザの組織内では不穏な空気が漂い始めます。組の体制に不満を持った荒くれ者のヤクザが、交渉の場を設けようとするも一蹴され、ついには反抗の意思を持って殺し屋たちを集め始めます。しかしその反乱計画もむなしく、彼自身が逆に殺し屋によって命を落とすという。

 物語の中盤、主人公は自らの父親を殺害したのが、かつて自分を育ててくれた大物ヤクザであったという衝撃の事実を聞かされます。その怒りと悲しみの狭間で苦しむ主人公は、復讐を決意するけど、自ら手を下すことができず、結果的に別のヤクザによってその育ての親が命を落とすという運命に直面し、慟哭。

 物語後半では、娘を狙う殺し屋たちが行動を開始し、舞台は学校へ。補修のために登校していた生徒や教師たちが巻き込まれ、次々と命を奪われていく中、主人公は最後まで娘を守り抜こうと奮闘。自身も深い傷を負いながらも、なんとか娘を逃がすことに成功しておしまい。

 この作品の魅力のひとつは、日常生活の中に突如として殺し屋たちが現れ、あたかも当たり前のように命を奪っていくというギャップの面白さにありました。そのギャップがもたらす緊張感と驚きの連続は、観客に強烈な印象を残します。殺害シーンのテンポも早く、あっという間に決着がつくため、展開のスピード感に爽快さを感じられる部分もありました。

 ただし、ほぼ全ての登場人物が「さっきまで普通に会話をしていたのに、突然あっさりと殺される」というパターンが何度も繰り返されるため、観る側としてはやや単調に感じてしまう部分もありました。90分という比較的短い尺の中で、この繰り返しが続くと、終盤にはやや食傷気味になってしまった印象です。

 また、技術的な点でも少し気になる箇所が見受けられました。特に台詞まわりにおいて、登場人物たちの多くが早口かつ声が小さく、何を話しているのか聞き取りにくい場面が多々ありました。そのため、せっかくの会話劇や心情表現が十分に伝わらず、観客が置いてけぼりにされてしまうような場面も見受けられました。

 とはいえ、テンポよく進むストーリーや、暴力描写と日常のギャップが醸し出すユーモア、そして主人公の抱える過去と葛藤が交錯するドラマ要素は見応えがありました。全体としては、ハードボイルドな世界観とエンタメ性が融合した、独特の空気を持った作品だと感じました。

☆☆

鑑賞日:2024/07/28 Amazonプライム・ビデオ

監督阪元裕吾
脚本松平章全
出演福士誠治 
芋生悠 
山路和弘 
前田朋哉 
般若 
一ノ瀬ワタル 
波岡一喜 
野間口徹 
伊能昌幸 
高石あかり 
伊澤彩織 
北代高士 
渡辺哲 
近藤雄介 

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