映画【オペレーション:レッド・シー】感想(ネタバレ):中国発ミリタリー超大作!圧巻アクション

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●こんなお話

 中国海軍の特殊部隊が中東某国の武装テロリストに誘拐されたりするので救出作戦をする話。

●感想

 ダンテ・ラム監督が手掛けた本作は、スケールの大きさと密度の濃いアクション演出で、序盤から一気に観客のテンションを引き上げてくれます。中国海軍の全面的な協力のもとで製作されており、その軍事的なリアリズムと映像の質感には目を見張るものがありました。まさに140分という長尺を通して、息つく暇もないほどの銃撃戦と爆発の連続。いわゆる“国家支援型エンタメ映画”とでも言えるような、軍事力と映画表現の融合が印象的でした。

 物語は、国際法を遵守しながら民間人の救出に全力を尽くす特殊部隊の活動を軸に展開していきます。市街地での近接戦闘、砂漠地帯でのスナイパー同士の攻防、ドローンを活用した戦術爆撃、そして戦車同士の追走劇と、これでもかというほどミリタリー・アクションの見せ場が次々と押し寄せてきます。特にドローンによる自爆攻撃の場面では、現代戦の様相を反映したような構成が面白く、単なる派手な演出に留まらないリアリティが感じられました。

 中盤までは各キャラクターの個性や戦場でのやり取りにもテンポの良さがあり、映像も濃密で見応えがありました。ただ、後半に入ってからは若干流れが単調に感じられた面もあり、特殊部隊たちがテロリストの本拠地に突入する展開では、8人ほどの部隊が数百人規模の敵を相手に次々と敵をなぎ倒していく描写が、ややフィクション寄りのヒーロー映画のような印象になっていきます。1人の兵士が引き金を引くたびに、なぜか周囲の10人ほどが一気に倒れていく演出には、正直なところリアリズムよりも演出過多な印象を受けました。

 また、敵が極秘に管理しているはずの核燃料の在り処が、机の上に置かれた紙切れ1枚で判明してしまうという展開にもやや拍子抜けしてしまいました。こうした“ご都合主義”と受け取られてしまうような要素が目立ってくると、緊張感が薄れてしまうのは惜しいところだったと思います。

 終盤では、敵の首領を追い詰めていく場面も丁寧さに欠け、何十人と取り囲んでいたはずの敵兵たちがいつの間にか一掃されていたりして、アクションの組み立てがやや雑になっていったように感じました。上映時間140分という長さが、最後の方ではやや重たく感じられたのも否めません。

 とはいえ、作り手の熱意とスケールの大きさには間違いなく目を引くものがあり、特殊部隊の兵士たちが戦闘の中で傷を負いながらも任務を遂行する姿は、ある種の気迫を持って描かれていました。腕が吹き飛んだり、顔が裂けるような生々しい肉体の損傷描写も盛り込まれ、戦場の過酷さを演出するリアリティは感じられました。そして最後には、中国海軍が南シナ海で領海を警備する姿が誇らしげに描かれ、作品全体の締めくくりとして印象深く心に残りました。

 作品としては、ハリウッド大作の文法を踏襲しつつも、今の中国映画が到達している映像制作のレベルを感じられる一作でした。エンタメとしての勢いと国威発揚的なメッセージが共存しており、そのあたりのバランスを含めて観ると、かなり興味深い体験になったのではと思います。

☆☆☆

鑑賞日: 2019/03/16 DVD

監督ダンテ・ラム
出演チャン・イー 
ホアン・ジンギュ 
ハイ・チン 
ドゥー・ジアン 

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