●こんなお話
民間傭兵部隊に巻き込まれた青年医師が、父の死の真相を追いながら、海外の天然ガス施設を狙うテロを阻止する話。
●感想
青年医師の柯童が、父親の死の真相を追い続けている場面から物語は始まる。柯童は幼少期から、父によって戦場医療、サバイバル技術、そして最低限の戦術行動を徹底的に叩き込まれて育ったが、その父はある日、理由も背景も明かされないまま命を落とし、柯童の中には消えない疑問だけが残されていた。成長した柯童は世界各地の紛争地帯を巡り、医師として負傷者を救いながら、父の過去や死に繋がる手がかりを探し続けている。
ある医療支援任務の最中、柯童は突然現れた武装集団に拘束され、民間軍事会社「背嵬」を率いる周青のもとへ連れて行かれる。周青は柯童の父と深い関係を持つ人物であり、父の死について重要な事情を知っているかのような態度を見せるが、核心部分は語らず、その代わりに極めて危険な任務への参加を要求する。柯童は反発しつつも、父の真実に近づくため、背嵬の一員として行動する道を選ぶ。
背嵬が請け負っていたのは、海外で建設が進む中国系天然ガス田とパイプラインを標的とした破壊計画を阻止する任務だった。計画が成功すれば、大規模な爆発事故と国際的な混乱を引き起こす恐れがあり、事態は想像以上に深刻だった。現地には、元特殊部隊員を中心とする武装組織・神奴二〇六が潜伏しており、彼らが破壊工作の実行部隊であることが判明する。
作戦が本格化すると、背嵬と神奴二〇六の間で激しい銃撃戦や市街戦が発生し、柯童も否応なく最前線に立たされる。彼は医師として負傷者を治療しながら、時には武器を手に戦闘に参加し、生死の境をさまよう体験を重ねていく。背嵬の隊員たちは、射撃、爆破、通信、偵察など、それぞれの役割を分担しながら集団として行動し、互いの命を預け合う存在として描かれていく。
戦闘を重ねる中で、柯童は父がかつて背嵬の極秘作戦に深く関わり、その任務の途中で命を落とした可能性に気づき始める。父の死の裏側には、単純な事故では済まされない事情があり、さらにその背後には利権や政治的思惑が複雑に絡み合っていたことも浮かび上がる。神奴二〇六もまた、より大きな力に利用される存在であることが明らかになっていく。
終盤、天然ガス施設への破壊が目前に迫る中、背嵬は敵の拠点へ突入する決死の作戦を実行する。激しい戦闘の末、爆破装置の解除には成功するものの、隊員たちは大きな犠牲を払い、任務の代償の重さが強く刻み込まれる結果となる。
戦いを経て、柯童は父が自分や仲間を守るために命を賭けたこと、その覚悟が自分へと受け継がれていることを受け止める。医師として人命を救う立場と、戦場で仲間を支える存在、その両方を背負う覚悟を胸に、柯童は背嵬の一員として新たな道を歩み始めておしまい。
正直なところ、物語の序盤から中盤にかけては、今どの任務に就いているのか、なぜこの場所で戦っているのかを把握するのが少し難しく感じました。状況説明が控えめなため、登場人物たちの行動目的を理解するまでに時間がかかる印象を受けました。
その一方で、アクション演出には印象に残る場面が多くありました。特に主人公が敵を追って走行中のトラックから降り、市街地の建物へと駆け抜けていく場面を長回しで見せるシーンは、臨場感があり純粋に楽しめました。カメラワークを含め、体感型の演出としては見応えがあったと思います。
ただ、傭兵仲間たちの人物像については、最後まで把握しきれなかった部分がありました。そのため、終盤である隊員が命を落とし、仲間たちが悲しみに包まれる場面でも、感情移入がやや難しかったのが率直な感想です。もう少し日常的な会話や背景描写があれば、印象は変わったかもしれません。
また、主人公が隊長の周青と衝突し、決別する流れになるのかと思いきや、気づけば再び同じ任務に参加している展開には戸惑いもございました。物語のつなぎ目が急に感じられる場面があり、関係性の変化がやや分かりづらかった印象です。
全体としては、ミリタリーアクションとしての迫力や映像的な魅力はしっかり備えた作品であり、雰囲気や緊張感を味わう映画として楽しめる一方、人物描写を重視する方には少し物足りなさが残るかもしれません。
☆☆
鑑賞日:2025/12/25 U-NEXT
| 監督 | マイケル・チャン |
|---|---|
| 脚本 | マイケル・チャン |
| 出演 | マックス・チャン |
|---|---|
| アーリフ・リー | |
| ジャン・ルクシア | |
| アレックス・ウルフ |

