●こんなお話
朝鮮半島に侵略してきた日本軍をわずかな軍で退治する李舜臣の話。
●感想
朝鮮半島を舞台にしたこの映画は、圧倒的に不利な状況に置かれた朝鮮水軍と、日本軍との壮絶な海戦を描く歴史スペクタクル。日本軍の攻勢によって朝鮮水軍は壊滅状態で、陸軍との連携も取れず、士気も低迷。脱走者も相次ぐ中、主人公・李舜臣だけが希望の灯を守ろうとしていた。
日本軍には藤堂高虎や脇坂安治、そして海賊の来島通総という強敵が揃い踏み。来島は李舜臣を討ち取ることに執念を燃やしている。主人公たちは船を失い、退路を断ち、わずか十数隻で迎撃の準備を整える。
海戦は主人公の船1隻での迎撃からスタート。大砲で敵艦を次々沈めていくが、包囲され白兵戦に突入。劣勢に見えながらも主人公の気迫と戦術で形勢を逆転し、沈みかけた士気も復活。仲間たちが次々と加勢し、戦局は一気に動き出す。自爆船の突入を恋人同士の合図で阻止するシーンなどもあり、感情的にも盛り上がる。最終的に来島通総は討ち取られ、藤堂高虎が撤退を決断。民衆に迎えられた主人公が帰還し、物語はおしまい。
極端な不利な状況から少数精鋭で大軍を打ち破る展開は、王道ながらヒーローものとして熱くなれました。中盤からの海戦シーンの迫力も圧巻で、映像だけでも一見の価値はあり。味方にも見捨てられ、孤立しながらも反撃していく物語の運びは、エンタメとして非常にテンポよく、わかりやすかったです。
ただ日本人として観ると、日本の武将たちが韓国人俳優によって演じられ、台詞が理解しづらいのがもどかしかったです。来島通総はまるでダースベイダーのような存在感で、李舜臣のライバルとして魅力的だったり、脇坂や藤堂も「李舜臣を甘く見るな」と言うなど、敵役としてしっかり立っていたと思います。にもかかわらず、訛りや言い回しのクセが入り込めない要因になっていました。
また、残虐な日本軍の描写が前半に強く出てくるため、日本人として観ると心が痛むところもあったり。さらに、海戦の映像は迫力がある反面、既視感があり、どこかで見たような印象も否めなかったのが残念。
それでも主演のチェ・ミンシクが、年老いた姿で苦悩と決意をにじませる演技には重みがあり、歴史の重層さを感じさせる作品でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2015/08/06 飛行機 2015/08/20 DVD 2023/10/07 Amazonプライム・ビデオ
監督 | キム・ハンミン |
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脚本 | キム・ハンミン |
チョン・チョルホン |
出演 | チェ・ミンシク |
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リュ・スンリョン | |
チョ・ジヌン | |
キム・ミョンゴン |