映画【マルホランド・ドライブ】感想(ネタバレ)

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●こんなお話

 記憶喪失の女性と女優志願の女性がどんどん摩訶不思議な世界に入っていく話。

●感想

 娯楽映画の骨法をずらしている映画で、1、紹介→2、展開→3、解決という構成ではないため。混乱する映画に仕上がっていました。
 140分の映画のうち110分が夢でラスト30分が現実という構成になっていて、ラスト30分を注目してからもう一度前半を見て行くと繋がるという映画で、夢に向かって頑張っているのに、なかなか叶わない人が見ると感情移入してしまう映画でした。
 つまり、2→3→1という構成のミステリー映画の構成で描いてるのでわかりにくくなっている感じですが。殺人事件のミステリーものなんかは、この構成なので、そんなに珍しい構成ではないけれど、デビッド・リンチ監督の手腕で面白く料理されているのがさすがでした。

 映画の時間通りに見て行くと、交通事故で記憶を失った女性が女優を目指す主人公と出会い記憶をたどっていく。一方、映画監督は映画の主演女優を変えられたり、奥さんの不倫現場に出くわしたり、謎のカウボーイに忠告されたり。はたまた、殺し屋のドタバタがあったり焼けただれた人間が出てきたり。
 人物のカットのつながりがおかしかったりして夢だという事がわかります。

 夢から現実に戻る瞬間は寝ている主人公にカウボーイが「起きろ」と言う開始110分あたり。そこから主人公の現実と回想が描かれていきます。
 そこを見て行くと、ハリウッドにスターになることを夢見てやってきた主人公。おそらく映画に登場するファミレスでバイトしたりしつつ女性と出会い恋に落ちる。けどその女性は売れっ子になり、映画監督に奪われてしまい、彼女は結婚してしまう。絶望した主人公は殺し屋に女性の殺害を頼んで、殺しが成功したことを知り、自分のしたことに絶望して拳銃で自殺する。
 というのが現実の流れ。拳銃で自殺した瞬間に見た夢が、最初の110分間。

 そう考えると、主人公の名前とファミレスで働く女性の名前がテレコしてたり。主人公の恋人の女性が記憶喪失になっていたりするのは自分の思い通りにしたい願望。映画監督がお金に困ったり奥さんが浮気したりするのは、これまた恋人を奪った映画監督がこうなってほしい恨みのシーンだったり。主人公がオーディションで素晴らしい演技をして受かるのも、現実ではそうじゃなかったけど、妄想では自分はすぐに受かるという希望。
 謎のカーボーイなんかもラスト30分に一瞬映っていて、ラスト30分の現実に映っている人たちが夢の世界で登場しているのがわかります。焼けただれた人が男か女かわからないのがデビット・リンチ監督ズルいです。
 最初に空港で出てきた老夫婦が小人になって迫ってきますが、あの人たちはおそらく映画が始まる前に飛行機で隣の席になって、主人公が夢を語っていた夫婦。それを考えると、何故出てきたのかがわかると思います。

 この映画のテーマは「ハリウッドで成功することを夢見た女優の卵の夢」になると思います。誰しもが自分の思い通りになりたいと思っていて、けれど現実はうまいこといかない。夢に向かって頑張る人が見ると辛い映画でした。
 ただ、殺し屋のドタバタだけはこの映画には関係なくて。この映画の後にテレビシリーズになる予定で、それに繋がるシーンだったのが、テレビ化がボツになったので。殺し屋のドタバタが関係なくなってしまったのが、ちょっと調べないとわからなくなってしまっている映画でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2014/03/10 Hulu

監督デイヴィッド・リンチ 
脚本デイヴィッド・リンチ 
出演ナオミ・ワッツ 
アン・ミラー 
ジャンヌ・ベイツ 
ダン・バーンバウム 
アンジェロ・バダラメンティ 
ローラ・エレナ・ハリング 
ジャスティン・セロー 
ロバート・フォスター 
メリッサ・ジョージ 
マヤ・ボンド 
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