映画【ミスターGO!】感想(ネタバレ):ホームラン連発!ゴリラが駆け抜ける野球場での大冒険

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●こんなお話

 中国の貧乏サーカスの団長の女の子とゴリラが韓国の野球チームにスカウトされてフィーバーを巻き起こしていく話。

●感想

 ゴリラがプロ野球のグラウンドでホームランを打つ。そんな突飛な設定から始まる物語は、リアリティを求めるよりも、その発想そのものを楽しむタイプの作品。最初の一発が放たれたときの爽快感と迫力に、思わず笑ってしまいました。 

 物語は、中国のとある借金だらけのサーカスで暮らす少女が、サーカスのゴリラを連れて韓国のプロ野球チームに入団させることから始まる。その裏には、人間ハンターの異名を持つスカウトマンがいて、金の匂いを嗅ぎつけてこのプロジェクトを成立させる。彼もまた金に追われる人生を送っていて、どこか必死な姿が印象的でした。ゴリラの活躍により、試合では打球が空を舞い、球場は歓声に包まれる。しかしその一方で、少女とゴリラとの間に立ちはだかる現実も描かれていきます。

 チームとの契約を巡る駆け引き、怪我を隠して無理をさせるスカウトマンの葛藤、金融業者たちによる別のゴリラを狙った騒動といった要素が詰め込まれ、どこか雑多な印象もありますが、それを補って余りあるCGのゴリラの存在感。画面に映るたびに笑ってしまう動きや表情、そしてどこか人間くささを感じさせる立ち居振る舞いが妙にリアルで目を引かれました。

 物語は130分と長尺で、特に序盤の少女の過去から現在に至るまでの流れが丁寧に描かれているため、テンポとしてはややゆっくり目です。少女が積極的に物語を引っ張るわけではなく、悲しみに暮れて涙を流す場面が多く、もう少し能動的な姿があればとは思いました。金融業者とのやりとりもユーモラスではあるものの、時間をかけすぎていて後から振り返るとやや冗長に感じる部分でもあります。

 それでも本作を最後まで観る原動力になったのは、やはりスカウトマンの存在。はじめはお金のために動いていた彼が、ゴリラや少女と一緒に暮らすうちに何かが変わっていく様子はとても自然で、彼の行動の一つ一つに思わず注目してしまいました。豪華な部屋でゴリラに振り回される日常や、プロ野球チームの間で契約金を釣り上げようとする姿、ゴリラの怪我をごまかそうとする焦りなど、彼の立ち回りに味がありました。

 終盤では、これまでのスポ根的な流れから一転して、巨大な存在としてのゴリラが描かれ、どこか『キング・コング』を思わせる展開に。観客席や報道陣がざわつく中で、ゴリラの運命がどうなるのかという緊張感もありました。怪我を抱えた選手や、狩猟団のような存在に囲まれる場面など、気がかりなことも多く、少しヒヤヒヤしながら見守ってしまう展開もありました。

 全体としては、とにかくゴリラの存在が大きくて、細かいことは気にせずに楽しんで観るタイプの映画だったと思います。いろいろな要素が混ざっていて長めではあるものの、その分、見たことのない光景がたくさん詰め込まれていて、なかなか珍しい体験でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2014/05/24 イオンシネマ多摩センター

監督キム・ヨンファ 
脚本キム・ヨンファ 
出演シュー・チャオ 
ソン・ドンイル 
キム・ガンウ 
オダギリジョー 
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