●こんなお話
墓泥棒3人組がカルト教団に頼まれて墓を荒らすけど、いろいろトラップがあって大変な話。
●感想
異国の秘宝をめぐる冒険譚として、CGをふんだんに使った視覚的に楽しい一本でした。血を吸うバッタや、突如動き出す日本兵のミイラ、そして崩れ落ちる燃える吊り橋など、次から次へとアトラクションのように襲いかかってくる展開が続き、2時間を超える尺でも飽きずに観られるシーンが詰め込まれていたと思います。各場面で「ここが見せ場です」と言わんばかりに、観客の目を引くアクションが展開されていく構成は、エンターテインメントとしてしっかり作り込まれていました。
主人公の二人が、時に助け合い、時に過去に思いを馳せながら秘宝に近づいていく流れは冒険映画のお約束ではありますが、そうした定型にしっかりと乗っていて安心して楽しめる作りになっていたと思います。ただ、途中で何度も挿入される回想シーン、特にかつての恋人との別れを描いたアクションパートなどは、丁寧に作られているのは伝わるのですが、やや長めに感じてしまいました。その間、現在の冒険が止まってしまうため、テンポが緩やかになる印象を受けました。
また、物語の中で重要な役割を担う悪役のカルト教団の面々も、主人公たちの動向を巧みに利用して秘宝に近づこうとするものの、あっけなく退場してしまう描写が続くため、クライマックスでの盛り上がりにはもう一つ波が欲しかった印象です。終盤の崩れていく建物の中を「ワーッ」と走って脱出する場面も、ビジュアルとしては楽しいのですが、物語の集大成としての熱量や緊張感はもう少し欲しかったように思いました。
さらに、序盤に登場するニューヨークの場面は、あの場所でロケをした意義を考えたくなるような内容で、もう少し物語に絡めてくれると良かったのではと感じる部分もありました。ただ、全体を通してみると、中華テイストを取り入れた冒険活劇として、さまざまな映像的仕掛けやアクションを盛り込んだエンターテインメント映画としてしっかり楽しめる作品でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2017/09/07 DVD
監督 | ウー・アールシャン |
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出演 | スー・チー |
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チェン・クン | |
ホァン・ボー | |
アンジェラベイビー |
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