●こんなお話
武器商人と戦うスパイたちの話。
●感想
物語の冒頭では、主人公がスパイであることを妻に隠したまま、幸せな結婚生活を送っている様子が描かれます。しかし、ベルリンで仲間が敵に捕らえられたとの情報を受け、彼は現地に急行。間一髪で仲間を救出するも、仲間が何か重要な情報を伝えようとした瞬間、頭に仕掛けられていた爆弾が爆発し命を落としてしまいます。
その後、武器商人の暗躍が発覚し、主人公はバチカンでの任務に向かいます。仲間と共に現地へ潜入し、主人公自ら武器商人に変装するという作戦を決行。ギリギリの状況で見事に危機を脱し、武器商人の身柄を確保します。
しかし、アメリカへの護送中に敵の奪還作戦が決行され、激しい戦闘の末に武器商人に逃げられてしまいます。さらに最悪なことに、今度は主人公の妻が人質として敵に連れ去られる。彼女の勤務先を訪れるも逆に捕らえられてしまい、さらには自分の所属組織からも疑われ、身柄を拘束されるという絶体絶命の状況に。
そんな中、信頼していた上司の助けにより脱出を果たした主人公は、武器商人から「“ラビットフット”と呼ばれる謎の物体を上海のビルから奪取せよ」と命じられます。そのビルは元人民解放軍の兵士によって厳重に守られており、潜入作戦が展開されます。派手なアクションを繰り広げながらなんとか“ラビットフット”の奪取に成功した主人公は、それを人質解放の取引材料にしようと考えます。
しかし、いつの間にかその“ラビットフット”が消えてしまい、武器商人から命を狙われる立場に転落。さらに追い打ちをかけるように、信頼していた上司が武器商人と通じていた裏切り者であることが判明します。
主人公はついにその裏切り者を打倒し、通信技術に長けた仲間のサポートを受けながら、上海のある村へと急行します。人質となっている妻を救出するため、全力で駆けつける主人公。頭に埋め込まれていた爆弾を無力化するため、自ら電気を流し一度は心停止状態となるも、奇跡的に蘇生。その後、真実が明かされ、容疑も晴れておしまい。
舞台はベルリン、バチカン、アメリカ、上海と多岐にわたり、視覚的に非常に華やかで、目まぐるしいテンポで展開するアクションにより、観客を最後まで飽きさせない120分間となっております。多様なスパイガジェットの活用や、チームで遂行されるミッションなど、シリーズらしい醍醐味が満載で、映像表現やスピード感は非常に楽しめました。
とはいえ、ストーリーの核となる要素――「ラビットフット」が何であるかが最後まで明かされず、観客としてはやや不完全燃焼な印象を受けたのも事実です。なぜ敵は上海まで人質を連れてきたのか、なぜ48時間というタイムリミットが設定されていたのかなど、物語上の疑問が明確に解消されないまま進行する場面も散見されました。
また、悪役がそれほど強大な存在に見えず、黒幕の正体も予想通りで、物語の山場としてのインパクトに欠けていたのは残念でした。特に、名優フィリップ・シーモア・ホフマンを起用しながらも、悪役としての迫力や存在感がやや薄く感じられた点は惜しまれます。
物語が進行するごとにスケールは拡大するものの、ドラマ性がやや希薄となり、結果として観客の興奮が徐々に冷めていくような感覚を持ちました。それでも、視覚的な面白さやテンポの良さ、そしてアクションの質の高さなど、見どころは多く、スパイ映画ファンには一見の価値がある作品であることは間違いありません。
☆☆☆
鑑賞日:2014/03/12 Blu-ray 2024/10/03 NETFLIX
監督 | J・J・エイブラムス |
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脚本 | アレックス・カーツマン |
ロベルト・オーチー | |
J・J・エイブラムス |
出演 | トム・クルーズ |
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フィリップ・シーモア・ホフマン | |
ヴィング・レイムス | |
ビリー・クラダップ | |
ミシェル・モナハン | |
ジョナサン・リース・マイヤーズ | |
マギー・Q | |
サイモン・ペッグ | |
ローレンス・フィッシュバーン |