映画【地獄の警備員】感想(ネタバレ):癖の強すぎる社員と殺人警備員!衝撃のサスペンス映画

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●こんなお話

 絵画取引を行う部署の新入社員と同じ日の警備員の新人がサイコパスで殺戮をしていく話。

●感想

 物語は、新しい職場へ初出勤する女性主人公が、渋滞に巻き込まれ初日から遅刻しそうになるという、ところから始まります。会社の警備員に写真を提示して何とか中に入れてもらい、無事出社。そのタイミングで、もう1人の新入りとしてボロボロの車に乗ってやってくるのが、警備員の男性。

 主人公は絵画取引を取り扱う部署に配属されますが、早々に上司からのセクハラに悩まされるなど、なかなかに厳しい職場環境。加えて、新入り警備員は元力士という異色の経歴を持ち、過去には殺人事件で無罪となったという物騒な背景もありつつ。そんな彼は、社内の先輩警備員の1人を殺害し、もう1人を脅して手下のように従わせるという行動を見せます。

 やがて、主人公が会社内で閉じ込められるという不可解な出来事が発生し、彼女のイヤリングがその場で落ちてしまいます。後日、それと全く同じイヤリングを新人警備員が身につけているのを目撃し、主人公は不気味さを覚えます。彼女は社長に相談し、調査が進むこととなる。

 警備員は電気工事業者の女性を殺害し、ついには主人公の目の前で同僚までも手にかけ、ついに彼の本性が露見します。恐怖に駆られた主人公は逃亡し、当初は同僚たちも信じてくれませんが、コーヒーを淹れていた別の社員が殺害され、その遺体を目撃したことで、ようやく全員が事の重大さに気づき始めます。

 社長が単身、警備員の前に立ちふさがり「見逃してやる」と語りかける場面もありますが、警備員はそれすらも無視し襲いかかろうとします。社員たちは社長室に立てこもることになりますが、停電により電話も使えず、外部との連絡は絶たれます。助けを求めるため、1人がファックスを使用しようと社長室を出ますが、やはり襲撃されてしまいます。

 さらに、社長室に残っていた女性が扉を開けてしまい、警備員に捕まってロッカーに閉じ込められ、そのロッカーごと体当たりで潰されるという、殺害シーンがあったり。そして、クライマックスでは社長が機転を利かせ、ついに警備員を倒すことに成功。夜が明け、社員たちはようやく会社の外へと脱出することができておしまい。

 本作の魅力は、何と言っても登場人物たちの“癖の強さ”と、バリエーション豊かな殺害シーンのインパクトにあります。特にロッカーごと押し潰して殺害するという演出は、これまでに見たことのない驚愕のアイデアであり、記憶に強く残るものとなっています。

 バブル時代ならではの携帯電話が存在しない設定、都会にあるにもかかわらず完全に孤立してしまう状況、そして社員を守るべき立場である警備員が最も恐ろしい存在であるという逆転の構図など、スリラーとしての発想も非常にユニーク。

 ただし惜しむらくは、全体的に画面が暗く、せっかくの恐怖演出やアクションシーンが視認しづらい場面が多かった点です。緊張感が高まる場面ほど映像が暗くなりがちで、視覚的なインパクトが弱まってしまっているのは残念でした。

 警備員の殺人動機が最後まで明かされず、本人も「それを知るには勇気が要る」と曖昧な発言に終始するため、やや謎が残るラストではありますが、理屈抜きにスリルを味わえる作品として、ホラー・スリラー好きには見ごたえのある1本だと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2014/04/13 DVD 2024/10/05 Amazonプライム・ビデオ

監督黒沢清 
脚本富岡邦彦 
黒沢清 
出演久野真紀子 
松重豊 
長谷川初範 
由良宜子 
大杉漣 
緒形幹太 
諏訪太朗 
田辺博之 
大寶智子 
内藤剛志 
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