●こんなお話
美容師とヤクザの恋愛の話。
●感想
美容師として日々腕を磨く主人公は、シャンプーの練習をしながら、大好きな野球選手を応援しているというちょっとのんびりした日常を送っているけど、武装したヤクザたちが店に押しかけてきて、何かを探し回っては、あっさりと去っていきます。
ホッとしたのも束の間、今度は傷だらけのヤクザが現れて、なぜか主人公に大金を手渡して去っていくという展開。実は、彼は最近亡くなったヤクザの親分の子分で、今まさに親分の死をめぐって残りの親分たちが集まり、今後の方針を話し合っているところだった。
数日後、その傷だらけのヤクザが子分たちを引き連れて再び美容室に来店し、主人公に髪を切ってほしいと依頼。ちょっとクセのある、いや、かなり独創的なヘアスタイルにされてしまうが、これがなぜかヤクザ界隈で大ウケし、美容室は“ヤクザ御用達の人気店”へと急成長。
子分たちは「親分、まさか恋してるのでは!?」とソワソワ。一方で、主人公の恋人が浮気をしていたことが発覚し、ヤクザがその相手を懲らしめるという“漢気”エピソードもありつつ。そしてヤクザ自身も悩み、子分たちが親身にアドバイスしたり。
恋人に振られて落ち込む主人公に対し、ヤクザが家族ときちんと挨拶を交わしてから食卓を囲む場面などあり恋人関係に発展、そこからは幸せな日々のモンタージュへ。
しかし、主人公が観戦に行った野球場で「ヤクザは来るな」と観客と揉めたり、ヤクザが好意で野球選手本人を呼んでパーティーを開いたり…と、善意が空回りし、主人公は次第に引いてしまう。結果、喧嘩別れとなり、ふたりは距離を置くことに。
そんな矢先、主人公の自宅の風呂場で刺客に襲われ、子分とともに戦うものの、相手は多勢。絶体絶命のピンチの中、子分がスマートウォッチで仲間を呼び、なんとか救出されますが、ヤクザは致命傷を負ってしまいます。
最期の力を振り絞り、美容室の前にたどり着いたものの、そこで息絶えてしまうヤクザ。しかし数日後、まさかの復活。実は「内臓が小さすぎて致命傷にならない」という都市伝説が本当だったというオチでおしまい。
アジアン・コメディらしさ全開で、特に前半は下ネタも多く、人によっては笑うに笑えず少ししんどく感じる部分もあるかもしれません。ただ、奇抜な髪型のヤクザたちが次々と登場して、そこは思わず笑ってしまいました。
男たちのドタバタ劇や、後半に進むにつれてしんみりとした純愛モードに切り替わっていく展開は、まさにギデンズ・コー監督ならではの勢いとユーモアが炸裂している1作。監督の作家性を楽しめる、独特な味わいのある映画でした。
☆☆☆
鑑賞日:2024/07/04 NETFLIX
監督 | ギデンズ・コー |
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出演 | ダニエル・ホン |
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ビビアン・ソン | |
クー・チェンドン |