映画【怪物の木こり】感想(ネタバレ):被験者たちの運命が交差する異能サスペンス

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●こんなお話

 殺人をいとわない弁護士が殺人鬼に襲われるので犯人を捜す話。

●感想

 刑事たちが屋敷に突入し、内部を捜索する場面から始まります。そこでは、頭に包帯を巻いた少年が絵本を読んでおり、その周囲には無数の少年たちの遺体が転がっているという状況が描かれ。刑事たちは女性を確保しようとしますが、彼女は少年にメスを突きつけた末、自ら命を絶つ。

 その後、主人公が山道を車で運転していると、尾行されていることに気づきます。彼は待ち構え、尾行車を事故に見せかけて横転させ、運転手の身元を確認すると、そのままガラスで首を切り殺害。この運転手は、実は主人公の旧知の医師が勤務する病院の職員で、何かを探っていたようです。また、この主人公が現在所属する弁護士事務所の社長を過去に殺していたことも判明する。

 主人公は旧友の医師を訪ね、尾行してきた男の目的や背景を探ります。その病院には、女性刑事も訪れており、連続殺人事件に関する意見を求めていたことが示されます。その帰り道、主人公は仮面をかぶった男に襲われますが、通りがかった一般人の悲鳴により犯人は逃走。主人公は頭を強打して意識を失う。

 治療を受けた主人公は、担当医から「頭に脳チップが入っている」と告げられ、初めてその存在を知ることに。主人公は調査を進め、友人の医師から、かつてサイコパス治療のために脳チップを用いた極秘実験が行われていたと知らされます。

 30年前、ある夫婦が子どもを誘拐し、脳チップを埋め込んでサイコパスに変わるかを観察するという事件があったことも明らかになり。主人公もその実験の被験者だったようで、殺人鬼に殴られた衝撃で脳チップが壊れ、人を殺せなくなった可能性に気づきます。

 刑事たちは、連続殺人の被害者が同じ施設で育ち、全員に脳チップが埋め込まれていた事実を突き止め。殺人鬼は、被害者の脳を取り出してチップを抜き取っていたのです。サイコパスの犯罪歴を持つ元受刑者も標的にされるのではないかと見られ、彼に護衛をつけようとしますが、拒否される。

 一方、ある刑事が主人公の病院カルテを不正に入手し、脳チップの存在を確認しますが、この違法捜査が原因で捜査から外されます。それでも彼は主人公の別荘の車に発信機を取り付け、行動を監視。

 やがて、主人公の元に婚約者が拘束された画像が届き、屋敷へと向かって。刑事たちは誤情報により別の人物を疑って家宅捜索しますが、無関係だったことが判明。その後、発信機の情報を頼りに刑事も屋敷に向かいます。

 屋敷では、主人公と殺人鬼がついに対峙。仮面を外した殺人鬼は、かつての実験で一緒だった友人であることが明かされます。主人公も彼との過去を思い出し、彼らが同じくチップを埋められた仲間だったことに気づきます。殺人鬼はサイコパス狩りをしていたと告白し、主人公も「自分はサイコパス以外は殺せなくなった」と感じる。

 その後、主人公は婚約者を人質にして応戦し、互いに負傷。殺人鬼は屋敷に火を放ち、自ら炎に包まれます。ラストシーンでは、刑事が主人公のもとに現れ、「いつか逮捕する」と告げて去っていきます。主人公が別荘へ戻ると、婚約者が待っており、彼女に刺されます。主人公は正当防衛を装い、命を落とす。 

 全体として、棒立ちの刑事たちが説明台詞ばかりをやり取りする場面が多く、会話劇の構成が単調でした。アクションシーンもほとんどがもみ合いに終始し、主人公と犯人の駆け引きや知能戦、肉体戦の魅力も乏しく、緊張感の持続が難しい内容でした。ミステリーとしての伏線回収やどんでん返しといった要素も少なく、バイオレンス描写に特化しているわけでもなく、エンタメとしての面白さを感じにくい一本だったと思います。

☆☆

鑑賞日:2023/12/10 イオンシネマ座間

監督三池崇史 
脚本小岩井宏悦 
原作倉井眉介
出演亀梨和也 
菜々緒 
吉岡里帆 
柚希礼音 
みのすけ 
堀部圭亮 
渋川清彦 
染谷将太 
中村獅童 
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