映画【武士の一分】感想(ネタバレ):盲目の武士が誇りを取り戻す!静かに燃える時代劇の感動作

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●こんなお話

 仕事で盲目になった武士が奥さんをだまして手籠めにした上役にキレる話。

●感想

 下級武士として、妻と、代々仕えてくれている下男と一緒に、慎ましくも穏やかな日々を送っていた主人公。仕事はお殿様のお毒見役。命の危険と隣り合わせの役目だが、家族とともに静かで幸せな日常を大切にしている。

 ところがある日、毒に当たり、三日間も意識を失ってしまう。命はなんとか助かったものの、目が見えなくなってしまうという絶望的な状況に。どうやって今後生きていけばいいのかと途方に暮れる中、上役の侍が何とか口添えしてくれて、表向きには今まで通りの暮らしが許される。

 だが、その「口添え」の裏には思惑があり、実際には徐々に追い込まれていく主人公。失明したことで立場も弱まり、侮辱や陰口、冷たい仕打ちにも耐えねばならなくなる。

 そんな中で、主人公は剣の稽古を独学で始める。盲目ながら少しずつ感覚を研ぎ澄ませ、再び誇りと自信を取り戻そうと奮闘する。そしてついに、すべての元凶である上役に果し合いを申し込む。

 物語はほとんどが主人公の屋敷内で進行し、派手な展開や壮大なロケーションはなく。けれど、だからこそ丁寧に描かれた小さな心の動きや日々の葛藤が胸に残るものでした。大きなアクションのない、静かな愛と名誉の物語として、じっくり味わえる一作だと思います。

 ただ、欲を言えばクライマックスの決闘シーンにもっと見せ場がほしかったです。座頭市のように「盲目でどう戦うのか?」というサスペンスや戦術的面白さがもう少しあれば、チャンバラ映画としての魅力もより高まったはずと感じたり。

 また、主人公の妻が物語の最初から最後まで、一切ぶれずに夫を信じ続けているため、ラブストーリーとしての波がなく、ドラマとしてはやや淡泊に感じた部分もありました。

 それでも、冨田勲の音楽が映像を力強く支え、美術や衣装の美しさも見応えたっぷり。赤貝の毒の即効性がリアルに描かれ、毒見役の過酷さを改めて感じさせるなど、時代劇としての満足感はしっかり得られる一本でした。

☆☆☆

鑑賞日:2011/01/08 DVD 2021/04/30 NETFLIX

監督山田洋次 
脚本山田洋次 
平松恵美子 
山本一郎 
原作藤沢周平 
出演木村拓哉 
檀れい 
笹野高史 
小林稔侍 
赤塚真人 
綾田俊樹 
近藤公園 
岡本信人 
左時枝 
大地康雄 
緒形拳 
桃井かおり 
坂東三津五郎 
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