映画【レ・ミゼラブル(2012)】感想(ネタバレ):圧巻の歌唱力で描く人生の物語 ミュージカル映画

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●こんなお話

 泥棒したことにより人として正しい道を頑張ろうとする話。

●感想

 その日を生きるだけでも大変な女性が子どものために売春婦にならざるを得なかったり、妹の子どものためにパンを盗み19年もの間牢獄に入れられてしまう男、そして法の番人として生きる警部。彼らの人生が圧倒的な歌唱力と音楽によって160分間鮮やかに描かれる作品でした。

 観終わったあと、登場人物たちは誰かを「許す」ことを繰り返していることに気づきます。ジャン・バルジャンは司祭に許され、最後には娘にも許される。その娘と革命を志す青年を許す女性の存在によって、二人は結ばれる。

 しかしジャベール警部だけは、許されることで自身の価値観が崩れ去り、救われることはなく。許しによって救いが訪れない存在もいるというテーマが描かれていると思いました。

 素晴らしい歌と音楽、美術も見事で、精一杯生き抜き死んだあとに希望を掴むラストの合唱は心を揺さぶるものでした。

 ただ、ミュージカル映画が苦手な自分には納得しきれない部分も多くて。まず、シーンごとに歌が長く、自分の気持ちや葛藤を表現するための歌はわかりやすい反面、どうしても冗長に感じてしまいまう。たとえば、一目惚れの気持ちを延々歌い続けられるのはきついです。顔のアップで長時間見せられるのもつらかったです。詐欺師の宿屋夫婦のシーンも長めと感じました。

 また、長いシーンがある一方であっさり流されるシーンも多くて。例えば、ジャン・バルジャンが娘の結婚式で過去を打ち明けて去った後、すぐ次のシーンで弱っているのは謎でした。時間経過はどれくらいなのか気になります。バルジャンが経営していた工場の描写も少しだけで、彼が逃げた後工場の人たちがどうなったのか描かれていなかったり。もし工場がなくなりみんな売春婦になってしまったら、ひとりの女性のために他の女性が犠牲になるのではと疑問が残りました。

 歌が長く感じたり、個人的に不要と思う歌もあったが、一人の人生を軸に多様な人々の人生を見られたのは良かったです。

☆☆☆

鑑賞日: 2013/02/09 TOHOシネマズ南大沢

監督トム・フーパー 
脚本クロード=ミシェル・シェーンベルク 
アラン・ブーブリル 
ハーバート・クレッツマー 
ウィリアム・ニコルソン 
原作ヴィクトル・ユーゴー
出演ヒュー・ジャックマン 
ラッセル・クロウ 
アン・ハサウェイ 
アマンダ・セイフライド 
エディ・レッドメイン 
アーロン・トゥヴェイト 
サマンサ・バークス 
ヘレナ・ボナム=カーター 
サシャ・バロン・コーエン 
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