●こんなお話
田舎から憧れのロンドンへ来て学園生活を送るけど、1人暮らしをしたら夜な夜な幻想を見て大変な話。
●感想
エドガー・ライト監督作品らしい監督が好きな映画や音楽などをジャンルを横断した作風が楽しく、どういう方向に話が転がっていくのかわからないまま引っ張られていく構成とソーホーというロンドンの場所は全く知らないですが、画面の隅々まで作り込まれた映像も素晴らしかったです。それに主人公2人も魅力的で彼女たちが体験する過酷な人生を一緒に追体験できるものでした。
主人公が祖母の祖母のもとを離れてロンドンのファッションの学校へ行って夢いっぱい頑張ろうとする。けれどルームメイトとそりが合わず、寮を出て学校の張り紙で見つけた一人暮らしの家を探して、そこに住むことになる。するとそこの家で寝ると気づくと1960年代のロンドンの世界へ同化していく。そしてその世界で歌手を夢見る女性と主人公が同化して彼女の人生を追体験していく。
このときの主人公同士の動きが鏡越しで見たり動きがシンクロしたり重なったりする気持ちよさや美しさが楽しいです。どうやって撮っているのかな? と楽しんで考えながら見ることできました。「ソーホーって何?」「この当時のイギリスってらビートルズでしょ」というくらいの知識しかない状態で見ましたが、それでも当時の美術やファッション、音楽などの画面に映るものすべてが作り込まれていてその世界を知らなくてもその世界に入り込んでみることができて、監督のビジョンをよくスタッフキャストが具現化映像化できたなと感心しました。
エドガー・ライト監督作品らしい途中からジャンルが変わっていく面白さがある作品ですが、個人的には序盤から中盤の近過去を描き青や赤のおどろおどろしい照明の世界観は退屈で中盤からの黒沢清作品の幽霊的なものが出てくるところから盛り上がっていきました。逆に中盤までは面白くて後半からダルいと感じてしまう人もいると思います。
主人公は自分が泊まっている部屋が事故物件でしたとなって警察へ行くけど、当然昔の殺人を夢で見たと言っても信じてもらえず、自分で捜査することに。そこからホラー映画怪奇映画のような展開が多くなっていきます。そして怖いと思っていた人が実は優しいと思っていた人が実は…な展開でわかっちゃいるけど驚かされて楽しめる構成でした。それに事件の真相も無理やりすぎではないかと見終わってみると感じてしまう犯罪でしたが、映像や編集などで引っ張られ見ている間は気にならずに見ることができました。
ただちょっと統合失調症の描き方ってこれでいいのかな? と少し心配してしまう描き方だったりしましたが楽しい1本でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2021/12/15 川崎チネチッタ
監督 | エドガー・ライト |
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脚本 | エドガー・ライト |
クリスティ・ウィルソン=ケアンズ |
出演 | アニャ・テイラー=ジョイ |
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トーマシン・マッケンジー | |
マット・スミス | |
テレンス・スタンプ | |
マイケル・アジャオ | |
ダイアナ・リグ | |
リタ・トゥシンハム | |
シノヴェ・カールセン |