映画【新聞記者】感想(ネタバレ):権力に立ち向かう記者たちの物語

kisya
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●こんなお話

 日本の民主主義はとっくに終わってる話。

●感想

 物語は実在の事件や報道をモチーフにしつつ、社会派映画として権力者に立ち向かう主人公たちの奮闘を描く。主人公は権力や体制によって追い詰められながらも、真実を暴くために尽力する記者や研究者であり、映画全体を通して社会の不正に立ち向かう姿勢が貫かれている。日本映画でこうしたテーマをここまで熱意を持って描く作品は少なく、製作スタッフやキャストの情熱の大きさが画面から伝わってきた。主演は無名ではなく、有名な俳優たちが演じており、作品に説得力と重みを与えていたと思います。

 映像はミュージックビデオのような印象的なカット割りや、シーンごとの細かな構図で非常にスタイリッシュに仕上げられており、映像表現の魅力は際立っていました。しかし、ストーリー自体は主人公たちが権力に追い込まれる展開が多く、演出も重厚であるため、終始緊張感が続き、観ている間に疲労感を覚える場面もありました。さらに後半、大学設立の裏に軍事利用や毒ガス計画が絡むことが明らかになる展開では、急に陰謀論的な要素が強くなり、現実感が薄れる印象も受けました。

 それでも、主人公たちが真実を追求し、何度も困難に直面しながらも最後には記事を書き上げ、輪転機が回り社会に届けられるシーンには、一定のカタルシスと達成感が感じられました。中盤以降は泣いたり立ちすくんだりする場面が続き、やや単調さを覚える部分もありましたが、日本映画として権力に立ち向かう社会派作品として貴重な一作であることは間違いありません。エンタメ性も備えつつ、体制批判の要素を描いた作品として、今後の日本映画に期待を抱かせる作品でした。

☆☆☆

鑑賞日:2019/07/01 角川シネマ有楽町

監督藤井道人 
脚本詩森ろば 
高石明彦 
藤井道人 
原案望月衣塑子
出演シム・ウンギョン 
松坂桃李 
本田翼 
高橋努 
西田尚美 
高橋和也 
北村有起哉 
田中哲司 

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