●こんなお話
南洋の島から人間の手で運ばれてきたキングコングが冷凍睡眠から目覚めたゴジラと戦う話。
●感想
怪獣映画としての要素がこれでもかと詰め込まれていて、まさにお腹いっぱいになる作品でした。ゴジラとキングコング、二大怪獣の夢の対決を看板に掲げているだけあって、映画の中では彼らのバトルが複数回にわたってしっかり描かれており、そうした期待にはしっかり応えてくれていたように思います。
冒頭から迫力満点の登場シーンで観客を引き込み、そこからテンポ良く物語が進行していきます。コングとゴジラの因縁めいた対決が何度も挟まれ、巨大生物同士の壮絶なぶつかり合いを楽しめる構成になっているので、観ていて飽きることはありませんでした。ストレスなく、ただただ純粋に怪獣プロレスを満喫できる一本だったと思います。
とはいえ、人間パートは完全にコメディに振り切っていて、その点は賛否が分かれるかもしれません。テンポがよく観やすい構成にはなっているものの、登場人物たちのやりとりやギャグのノリが、少し昭和的というか、今の時代の観客からすると懐かしさを超えて古さを感じる部分もあったかもしれません。それもまた味と言えば味なのですが、若干浮いてしまう瞬間もありました。
怪獣プロレスとしても、設定の自由さが突き抜けていて印象に残りました。コングが電気を浴びることでパワーアップするという描写には驚かされ、最後の決戦シーンで、疲れ果てたコングに偶然雷が直撃して復活するという流れも、完全にご都合主義ながら、それがむしろ清々しく笑えてしまいました。やりたいことを全力でやっているという潔さがあり、気持ちよく楽しめました。
また、自衛隊の作戦もなかなかユニークでした。ゴジラとコングという二体の脅威に対して、どちらとも正面から戦うのではなく、怪獣同士を戦わせて共倒れを狙うという、日本映画らしい発想も面白かったです。そしてクライマックスでは、なぜか二体で一緒にお城を破壊するという不可解な場面が用意されており、その行動にも思わず笑ってしまいました。海に落下していく結末まで、すべてが豪快で痛快な流れとなっていたと思います。
コングを捕らえる流れも、どこか懐かしさを感じさせる演出になっていて楽しかったです。謎の島での出会い、そして巨大な怪獣を捕らえて船で輸送するくだりなど、オリジナルの『キングコング』を思わせる展開が随所に盛り込まれており、昔ながらの怪獣映画へのリスペクトも感じられました。
それに加えて、自衛隊の兵器描写も見応えがあり、怪獣映画としての重厚さを支えてくれていました。ミサイル、戦車、ジェット機など、さまざまな兵器が登場して怪獣たちに挑む様子は、怪獣映画の王道らしい緊張感があり、見ていてワクワクするものでした。
全体として、突っ込みどころを楽しむくらいの気持ちで観ると、非常に充実した内容で、娯楽作品としては大満足な一本だったと思います。
☆☆☆☆
鑑賞日: 2016/07/10 Hulu
監督 | 本多猪四郎 |
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特技監督 | 円谷英二 |
脚本 | 関沢新一 |
出演 | 高島忠夫 |
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浜美枝 | |
佐原健二 | |
藤木悠 | |
有島一郎 | |
平田昭彦 | |
田崎潤 | |
若林映子 | |
大村千吉 | |
小杉義男 | |
松村いき雄 | |
根岸明美 | |
松村達雄 |
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