●こんなお話
連合艦隊司令長官山本五十六の日米戦開戦から撃墜されるまでの話。
●感想
当時の日本の状況を、山本五十六という人物の立場、海軍・陸軍それぞれの軍事的な視点、さらにはマスコミや国民の目線まで多角的に描いていて、学ぶことの多い作品でした。特に印象的だったのは、新聞が真実を伝える役割を担うのではなく、「国民を導くためのもの」として、大本営発表をそのまま報じ、戦意を煽っていたこと。そして、多くの国民が「また戦争が始まれば景気が良くなる」と、まるで他人事のように戦争を受け止めていたという描写は、当時の空気感だと思います。
一方で、ストーリー全体の構成にはやや物足りなさを感じました。歴史のダイジェストをそのまま映像で見ているような印象で、目新しさや深いドラマ性があまり感じられなかったのが残念でした。例えば主人公がミッドウェイでの敗戦に直面した場面でも、ただ将棋を指しているだけで、具体的な対策を考えているようには見えなかったです。劇中では山本五十六と対立する南雲中将がやや否定的に描かれているが、そもそも山本自身も明確なリーダーシップを発揮しているようには見えず、誰の判断が正しく、誰が誤っていたのかが不明瞭なまま物語が進む感じです。そういった部分が結果論的に描かれてしまっているのはもったいないと感じました。
また、映画的な盛り上がりがあまりなく、展開も淡々としていたため、歴史に興味がある人には楽しめる内容だと思いますが、一般層にとってはやや退屈に感じてしまうかもしれないです。とはいえ、日本が歩んだ戦争の道を俯瞰する視点を与えてくれる点では、知識を深めるきっかけとして十分に価値のある作品だと思います。
☆☆
鑑賞日:2013/12/22 Blu-ray
リンク
監督 | 成島出 |
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監修 | 半藤一利 |
脚本 | 長谷川康夫 |
飯田健三郎 |
出演 | 役所広司 |
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