●こんなお話
ベラルーシの元大統領を訴追するための証人として殺し屋が護送されるので、ボディーガードが守る話。
●感想
元トップクラスのボディガードとして働いていたマイケル・ブライスは、独裁者デュコビッチを国際司法裁判所で告発する重要証人として移送される殺し屋ダリウス・キンケイドの護送任務に駆り出される。移送中にデュコビッチ側の襲撃が入り、護送部隊は壊滅するが、ブライスは生き残ったキンケイドを安全にハーグへ連れていくよう託される。
合流した二人は、車や船、徒歩へと移動手段を変えながら逃走と追跡の連続をくぐり抜けていく。道中、キンケイドは過去にブライスの警護対象を殺していた事実を話すが、険悪になりながらも二人は目的地を目指すしかない状況に追い込まれる。
たどり着いたハーグで、キンケイドは法廷に立ち、デュコビッチの犯罪行為を証言する。デュコビッチは爆破を仕掛けて証人を排除しようとするが、ブライスがその計画を阻止する。混乱の中、キンケイドは逃げようとしたデュコビッチを屋上で追い詰め、落下させて決着をつける。
事件が収まった後、キンケイドは妻のもとへ送られ、ブライスは再びボディガードとしての仕事へ戻っていく。
冒頭で主人公が日本人の武器商人を静かに護衛していて、「退屈が一番」と言いながら任務を終えようとした瞬間に依頼人が撃たれるくだりはテンポが良くて映画の空気がすぐにつかめました。その後のモンタージュで主人公が刺客を排除していく場面は、短いカットを積み重ねた能力紹介として楽しく、腕の確かさを一気に見せる構成が巧かったと思います。
国際裁判所では元大統領が虐殺で裁かれ、インターポールが凄腕の殺し屋に証言を依頼する流れになっていきますが、内部に裏切り者がいて護送があっさり壊滅する展開は勢いがあり、そこから主人公が急きょ護衛を引き受ける流れもスムーズでした。主人公とキンケイドが顔を合わせた早々に殴り合いを始める場面も含め、二人の仲の悪さをコミカルに描きながら物語が進んでいくのがおもしろかったです。
そこからはライアン・レイノルズとサミュエル・L・ジャクソンの掛け合いが中心で、カーチェイスやボートチェイスを交えながら、罵り合ったり協力したりと慌ただしく展開していきます。それぞれが抱えている恋愛や過去の話も差し込まれ、互いの距離が少しずつ変化していく会話の流れには俳優同士の相性の良さが出ていたように感じました。
ただ、ブライスの失敗した任務の裏側にいたのがキンケイドだったと判明して衝突するくだりから、二人が別行動になり、拷問、救出、再度の協力へと移っていく展開はやや慌ただしいところもありました。終盤でブライスが撃たれて動けなくなってしまうため、クライマックスでの活躍が少し控えめになった印象もあります。
それでも、証拠写真の提示でデュコビッチに形勢が傾き、爆破騒ぎからの追走劇へつながっていく構成は盛り上がりがあり、アクションコメディとしては十分楽しめる作品だと感じました。とはいえ新鮮な驚きが強く残るタイプではなく、よくある構造の中で俳優の魅力が引っ張っていく印象が強かったため、突出した要素を求めると物足りなさもある内容でした。
☆☆☆
鑑賞日:2022/03/24 NETFLIX 2025/12/10 U-NEXT
| 監督 | パトリック・ヒューズ |
|---|---|
| 脚本 | トム・オコナー |
| 出演(声) | ライアン・レイノルズ |
|---|---|
| サミュエル・L・ジャクソン | |
| ゲイリー・オールドマン | |
| サルマ・ハエック | |
| エロディ・ユン |


