映画【ヘルレイザー2】感想(ネタバレ):血と幻覚の狭間へ。魔界の扉がふたたび開くホラー続編

Hellbound: Hellraiser II
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●こんなお話

 前作の主人公が病院に入れられて院長が前作で死んだ人を蘇らせて大変な話。

●感想

 前作でおじさんと継母との壮絶な戦いを乗り越え、生き残った主人公。だがその代償として精神を病み、病院に収容されているところから物語は始まる。主人公はこれまでに体験した出来事を医師たちに語るものの、常識では理解できる内容ではなく、信じてもらうことはできない。

 病院の院長は、主人公の言葉に表向きは耳を傾けながらも、密かに事件現場に残されていたマットレスを自宅へと運び込むという奇妙な行動に出る。主人公はそれを処分すべきだと警告していたが、院長はそれを無視するかたちになっていた。

 そしてそのマットレスに血が垂れたことで、前作で死亡した継母が皮膚のない姿で復活を遂げる。人間らしさを失った彼女は、その妖艶さで院長を誘惑し、ふたたび恐怖の連鎖が始まっていく。

 この一部始終を目撃していた医師が主人公の話を信じ、彼に協力を申し出る。継母は次々と人間を襲い、体を復元していく。やがて主人公たちは現場へと向かうが、医師はそこで継母に襲われ命を落とす。主人公は死後も苦しんでいる父親を救うため、自ら魔界へと足を踏み入れる。

 一方で、院長は継母に裏切られ、生贄のような存在として利用されてしまう。しかし彼はただでは終わらず、魔導士のような存在として再び現れる。主人公は、父だと思い込んでいた人物が実はおじさんであったことを知り、揺さぶられるが、誘惑を退けて炎で撃退する。

 そして、前作にも登場した魔導士たちと主人公が再会を果たす。その場に魔界化した院長が現れ、魔導士同士の対決が始まる。主人公が魔導士たちに「人間だったころを思い出して」と訴える中、戦いはあっけなく終わり、ピンヘッドたちは次々と倒されていく。

 クライマックスでは、継母の皮をかぶった主人公の策略により、院長が騙されて首を落とされ、ついに終局を迎える。そして主人公は無事に魔界から抜け出し、物語は一区切りを迎える。

 物語全体としては、前作に引き続き特殊メイクやアナログのビジュアルエフェクトの魅力が存分に詰まっており、血と肉の質感が画面を覆うような迫力ある映像が印象的でした。CG以前の手作業の力強さが感じられる、まさに80年代らしいゴシックホラーといった趣があります。 

 とくに、皮膚のない状態から少しずつ身体が再生していくプロセスや、人間の肉体が引き裂かれていくような描写には、今見ても目を奪われるようなインパクトがありました。

 ただし物語の構成に関しては、現実と幻覚が入り混じるような演出が多く、夢か現実かを曖昧に描くトリップ感が強いため、ストーリーを追うのが少々難しく感じられる場面もありました。魔界に入っていく際のビジュアルはとても楽しいのですが、話の骨格がぼやけてしまっている印象もあり、観ているうちにどこに焦点を合わせるべきなのか、やや迷ってしまうところもありました。

 とはいえ、シリーズとしての雰囲気や美術、キャラクターの造形には引き込まれるものがあり、ホラー好きとしては十分に満足できる1本だったと感じました。

☆☆

鑑賞日:2023/02/16 WOWOW

監督トニー・ランデル 
脚本ピーター・アトキンス 
原作クライヴ・バーカー 
出演クレア・ヒギンズ 
アシュレー・ローレンス 
ケネス・グラハム 
イモゲン・ボアマン 
ショーン・チャップマン 
ウィリアム・ホープ 
ダグ・ブラッドレイ 
バービー・ワイルド 
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