●こんなお話
娘を殺害された被害者がその組織のメンバーを1人ずつ復讐していく話。
●感想
2人の主人公が車を走らせ、狭くて入り組んだ住宅地を進んでいく。目的の家にたどり着くと、宅配便を装って玄関を訪ね、出てきた男をいきなり襲って誘拐。廃墟に連れ込み、男を監禁する。
そこで明かされるのは、主人公の1人がかつて娘を殺されたという過去。拷問をしながら、その事件に関与した関係者の名前を聞き出していく。合間には2人の出会いの回想が挟まれ、講師をしていた主人公が娘を亡くしたもう1人に声をかけ、復讐を持ちかけた経緯が描かれる。
さらに新たな名前が浮上し、その人物を狙って再び襲撃。相手は仲間と一緒にいたが、追跡劇の末、無事に誘拐に成功する。今度は誘拐した2人の男をお互いに殺し合いをさせる。1人が死亡し、生き残ったもう1人もすぐに殺害される。
そして最後の標的となる男のもとへ向かい、誘拐を実行。主人公たちは再び廃墟へ向かうが、そこは娘が殺された現場だった。やがて、男の仲間たちが乗り込んできて銃撃戦へ突入。1人、また1人と死んでいき、ついには主人公2人だけが残る。
しかし、ここで衝撃の展開が待っている。突然、1人の主人公がもう1人を殴り倒す。そして明かされる真実。殴られた側の主人公こそが、実は娘を殺した組織の一員だった。復讐を誓って共に行動していたはずの相手が、最も許せない仇だったということが判明。娘が殺される映像を見せられ、おしまい。
全体を通して、廃墟の引きの画で銃声だけが響くという乾いた映像演出が不気味さを醸し出していて、怖さと緊張感が絶妙でした。哀川翔のどこか感情の読めない表情も、最後に目的が判明していくことで一層引き立つ構成になっていると思いました。香川照之との出会いから始まる展開も、真相がなかなか見えない不気味さがあり、ラストまで集中して観られる90分でした。
☆☆☆
鑑賞日:2024/06/06 Hulu
監督 | 黒沢清 |
---|---|
脚本 | 高橋洋 |
出演 | 哀川翔 |
---|---|
香川照之 | |
下元史朗 | |
柳ユーレイ | |
翁華栄 | |
砂田薫 | |
丹治匠 | |
佐藤加奈 | |
小田彩美 | |
田中瑞穂 | |
森裕悟 |