ドラマ【FUBAR】感想(ネタバレ):家族と任務の狭間で揺れるスパイドラマの温度感

Fubar
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●こんなお話

 CIAの職員がテロリストを追いかけながら家族や婚約者とかとの問題の危機に直面する話。

●感想

 かつて数々の任務を遂行してきた主人公は、今作でもハッカーや諜報員たちとともに日々の任務に取り組んでいる。彼の私生活はやや複雑で、元妻との関係に今も未練が残る様子が随所に見え隠れする。元妻にはすでに新しい恋人ができており、それが彼の中で静かな葛藤となっているようだった。息子は独自に開発を進めている謎のアプリに熱中しており、それを見た主人公が「もっとちゃんと生きろ」と説教をする場面も。加えて娘とも意見の相違があり、家族関係はどこかぎくしゃくした空気を漂わせていた。

 物語が動き出すのは、主人公が最後の任務として、あるテロリストのアジトへ潜入する決断を下したところから。標的となる人物は、なんと主人公がかつて幼い頃から知る青年であり、その父親をかつて主人公自身が手にかけていたという因縁が隠されていた。ただし、その事実を青年はまだ知らず、彼は今でも主人公を理想の父親像として敬意を抱いている。

 アジトに足を踏み入れた主人公は、そこで思いがけず娘と再会する。彼女もまた、CIAの一員として同じアジトに潜入していた。互いに立場を明かさないままの共闘が始まり、時に対立しつつも、協力の姿勢も見せていく。標的を幾度も取り逃がしながら、CIAチームの面々とともに繰り返される潜入ミッションが描かれていく中で、それぞれの人間模様が少しずつ浮かび上がっていく。

 主人公の元妻との関係がどうなるのかという点も物語のひとつの軸となっており、一方で娘の私生活も大きく揺れる。婚約者との関係がうまくいかず、チーム内のイケメンエージェントと親密になる描写が盛り込まれていた。現場の任務に本来関わらない人物が潜入するなど、危うさも漂わせつつ、そうしたやりとりがドラマに緊張と笑いを織り交ぜていました。

 チームのメンバーたちは話を重ねるごとに関係性が深まり、軽口を叩き合う場面が増えていく。それが自然と視聴者にとっても心地よくなっていき、誰かひとりを応援したくなるような雰囲気が作られていたと思います。アクションシーンは派手すぎず、適度な軽快さを保っていて、全体的にはコメディタッチの明るい空気が物語を包んでいました。

 終盤では、核爆弾が登場するという設定が組み込まれるが、爆発の描写はどこか非現実的で、喜劇的な要素として処理されていました。ただ、その表現が軽さを保つ一方で、日本人としてはやや笑いづらさを感じる描写も混じっていたのは確か。とはいえ、その点を差し引いても、チームのやり取りやキャラクターの魅力で引き込まれる場面は多く、シリーズ全体としての親しみやすさが際立っていた印象を受けました。

☆☆☆

鑑賞日:2023/06/08 NETFLIX

監督フィル・エイブラハム
脚本ニック・サントーラ
出演アーノルド・シュワルツェネッガー
モニカ・バルバロ
ミラン・カーター
ガブリエル・ルナ
ジェイ・バルチェル
フォーチュン・フィームスター
トラヴィス・ヴァン・ウィンクル
ファビアナ・ウーデニオ
バーバラ・イヴ・ハリス
アパルナ・ブリエル
アンディー・バックリー
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