映画【ファンタスティック・フォー 超能力ユニット】感想(ネタバレ):超能力とチームワークが生むヒーローの新たな物語

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●こんなお話

 宇宙嵐を浴びた科学者たちが超能力を手に入れて頑張る話。

●感想

 物語は、主人公の科学者チームが資金提供を求めて、裕福そうな実業家に対して自らの研究をプレゼンテーションする場面から始まる。そのままテンポよく宇宙開発の話が進んでいくため、前作を見ていないと少し戸惑うくらいのスピード感で展開が始まる。研究テーマは、宇宙の放射線に関するもので、未知のエネルギーを活用することで新たな進化の扉を開こうとする意欲的なものだった。

 そして、研究のため宇宙へと向かった主人公たちだったが、想定外の宇宙嵐に巻き込まれてしまい、それぞれ強烈な磁気のようなものを浴びて意識を失ってしまう。次に目覚めた時には、地球の病院のベッドの上。自分たちの身体に起こった変化に、誰もが戸惑いながらも、少しずつ日常を取り戻していこうとする。

 能力を得た彼らがそれをどう受け止めるかという描写の中で、特に印象深かったのは、体の見た目が完全に変わってしまったベンというキャラクターの描写です。全身が岩のような姿になってしまった彼は、愛する恋人に拒絶され、指輪をその場に残されて立ち去られてしまいます。街を歩けば人々に恐れられ、孤独と疎外感に押しつぶされそうになる彼の苦悩は、この作品の中で最も人間味に溢れた部分だったと感じました。ですが、そんな彼にも新たな出会いが訪れ、少しずつ心を取り戻していく姿が描かれており、その変化の過程に心を動かされました。

 一方で、全身が炎に包まれるジョニーはその能力をポジティブにとらえ、街中で注目を浴びたり、ヒーローのように振る舞ったりと楽しんでいる様子が描かれており、シリアスな展開の中にも軽やかなユーモアが加わっていました。この明るさのバランスが、作品にとって良いアクセントになっていたと思います。

 中盤の大きな見せ場としては、橋の上で発生した交通事故に駆けつけ、一般市民を救助する場面が印象的です。ここで初めて、チームとしての協力プレイが披露され、それぞれの能力を活かしながら人々を救う姿には胸を熱くさせられました。能力の違いを補い合うように動く彼らの姿が、物語における「チーム」としての意味を強調していたように思います。

 クライマックスでは、能力を持った主人公たちが、同じく異能を持つ敵と対峙します。この敵キャラクターは、かつての仲間でありながら力に溺れていく様子が描かれており、少しずつ精神的に不安定になっていく過程が描写されます。ただ、その人物像にはあまり深みが感じられず、行動の動機や内面の掘り下げが少なかったのは惜しく感じました。また、戦いの中で主人公たちが一度倒されたように見せながら、再登場して反撃する場面もあるのですが、その展開もあっさりしていて、もう少し緊張感が欲しかったというのが正直な印象です。

 主人公であるリードは、身体が伸びる能力を持つ“ゴム人間”なのですが、他のメンバーに比べて少々地味で、主人公らしさがやや薄いようにも感じられました。ただ、そこは演技力でカバーされており、リーダーとしての理知的な判断や仲間をまとめる姿勢には説得力がありました。

 また、ジェシカ・アルバさんが演じるキャラクターの存在感も作品の大きな魅力のひとつで、彼女の演じるヒロインがチームに安定感をもたらしていたように感じます。キャストの華やかさもあり、100分という比較的短い上映時間ながらも、テンポよく楽しむことができるエンタメ作品だったと感じました。

☆☆☆

鑑賞日:2021/10/15 Disney+

監督ティム・ストーリー 
脚本マーク・フロスト 
マイケル・フランス 
原作スタン・リー 
ジャック・カービー 
出演ヨアン・グリフィス 
ジェシカ・アルバ 
クリス・エヴァンス 
マイケル・チキリス 
ジュリアン・マクマホン 
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