映画【華氏119】感想(ネタバレ):水質汚染から政治の裏側まで

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●こんなお話

 アメリカで生きていくのは大変だってドキュメンタリー。 

●感想

 作品は一見するとトランプ大統領の問題点を掘り下げるのが中心に思えるが、実際には序盤で軽く触れられる程度にとどまる。その後はアメリカの地方都市における水質問題や教師の副業、地域社会が抱える現実的な課題に焦点が移っていく。銃撃事件を経験した高校生たちが立ち上がり、大人たちに代わって声を上げていく姿が描かれ、政治や社会の停滞に対して若者が熱をもって行動する様子が展開される。さらに、トランプ政権だけでなく民主党内部の動き、例えばヒラリーを有利にするためバーニー・サンダースの票が調整されたとされる話題など、政治の裏側にも触れられていく。

 本作は一見プロパガンダ的に見える要素も含んでおり、トランプ大統領の問題をヒトラーと比較するような大胆な演出はやや強引に映りました。ただし、ドキュメンタリーとしてアメリカ社会の断片を映す力は強く、銃撃事件の高校生たちが情熱的に行動していく場面には大きなエネルギーを感じました。若者たちの姿を「新しい時代の象徴」として描いている部分には、作り手の思いが伝わってきたと思います。

 また、ヒラリーやオバマ大統領も批判の対象として取り上げられている点は興味深く、特に党内政治の裏側を覗くような視点は新鮮でした。都市の水質や雇用の問題については日本に暮らす観客にはやや身近に感じにくい部分もありましたが、それでもアメリカという国の複雑さを垣間見るきっかけになる内容だったと感じます。社会の多様な問題にスポットを当てるこの作品は、政治の表層だけではなく日常の暮らしに根差した課題を浮き彫りにした一本でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2018/11/07 TOHOシネマズ川崎

監督マイケル・ムーア 
脚本マイケル・ムーア 
出演ドナルド・トランプ 
マイケル・ムーア 

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