映画【映画ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 はばたけ 天使たち】感想(ネタバレ):友情とロボットの葛藤を描いた、ひみつ道具大活躍の冒険劇

doraeiga31
スポンサーリンク

●こんなお話

 地球を奴隷化しようとする鉄人兵団と戦うドラえもんたちの話。

●感想

 スネ夫が最新のロボットのおもちゃを得意げに見せびらかしてきたことに刺激を受けたのび太君は、もっとすごいロボットが欲しいとドラえもんに頼み込む。しかしドラえもんは「ここにいるじゃないか」と自分を示すが、のび太君の容赦ないひと言が飛び出し、暑さもあってドラえもんは北極へと向かってしまう。のび太君もすぐに後を追い、そこでボーリングのボールのような謎の物体を発見する。

 そのボールが動き出すと、空から巨大なロボットの部品が次々に降ってきて、さすがに家では対応できないため、ドラえもんのひみつ道具を使って、現実世界とは反転した鏡面世界に運び込んでロボットを組み立てることに。完成したロボットを動かして遊ぶのび太君たちのもとに、ロボットを探しているという少女型ロボットが現れる。「のび太」という名前を頼りに地球に来たらしく、ジャイアンとスネ夫から情報を得て、のび太君たちと出会うことになる。

 彼女は巨大ロボットの頭脳が見つかっていないことを知ると、のび太君が発見したボーリングがその頭脳であると判明する。のび太君たちはそのボーリング型の頭脳に言葉を話せる道具を使って意思疎通を試み、やがてそれはヒヨコのような可愛らしいロボットに姿を変える。このヒヨコ型ロボットと少女ロボットは、鉄人兵団の命令で人類と敵対するためにやってきた存在だが、のび太君たちと触れ合ううちに、自分たちの使命と感情のはざまで葛藤するようになっていく。

 しずかちゃんも少女型ロボットを手当てしながら、ロボットの歴史や背景について語られる場面では、アダムとイブと呼ばれるロボットたちが起こした内戦や、人類を敵と見なすに至った過程などが語られていく。それに対して人間らしさを見出すしずかちゃんの言葉に、少女ロボットは強く反論するが、内面では少しずつ変化が芽生えていることがうかがえる。

 後半では、圧倒的な数の鉄人兵団を前に、のび太君たちが鏡面世界で迎え撃つことになる。しずかちゃんが過去に戻ってロボット開発者に鉄人兵団の停止を願い出るも、それによってヒヨコ型や少女型ロボットの存在も消えてしまうことがわかり、別れの決断が迫られる。ここで感動的な別れのシーンが用意されており、主人公たちとロボットたちとの絆が試される。

 ただ、ロボットたちの心情の揺れが物語の早い段階から見えていたため、人類との対立というテーマにおける緊張感はやや薄く感じられました。また、ドラえもんたちが立てた作戦も鏡面世界に敵を誘い込むという発想があったものの、結局は正面からの力押しの展開となっており、ひみつ道具を使った奇抜なアイデアや駆け引きといった面白さはあまり見受けられなかった印象です。

 それでも、ロボットたちとの出会いと別れを通して、のび太君たちがほんの少し成長していく姿が描かれており、長年愛されてきたシリーズならではの優しさと友情のメッセージがこめられていたのは良かったと思います。

☆☆☆

鑑賞日:2022/03/22 Amazonプライム・ビデオ

監督寺本幸代 
脚本清水東 
原作藤子・F・不二雄 
出演(声)水田わさび 
大原めぐみ 
かかずゆみ 
木村昴 
関智一 
千秋 
沢城みゆき 
小林由美子 
加藤浩次 
タイトルとURLをコピーしました