映画【ジャンゴ 繋がれざる者】感想(ネタバレ):奴隷制度と正義を描く西部劇の真髄

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●こんなお話

 賞金稼ぎとその賞金稼ぎが狙っている相手の顔を知っている奴隷がバディとなって奴隷の恋人を助け出そうとする話。

●感想

 奴隷たちが連れられている場所に、ドイツ人の歯医者が現れ、ある特定の奴隷を探している場面から始まり。彼は契約によってその奴隷を引き取ろうとするが、銃撃戦となり白人を射殺。結果として、その奴隷であるジャンゴを引き取ることとなる。

 ジャンゴが賞金首の顔を知っているということで、指さしで確認してもらうため、彼と共に旅をすることに。道中では賞金首を討ち取りながら報酬を得ていき、ジャンゴの射撃の才能も次第に明らかになってくる。

 白人至上主義者たちに命を狙われるが、逆に撃退する場面もあり、ジャンゴが正式に賞金稼ぎとして同行するように。やがて、ジャンゴの妻が慰安奴隷として囚われている「キャンディランド」という農園を目指すことに。

 キャンディランドでは、表向きは格闘用奴隷を買う交渉を装いながら、実はジャンゴの妻を取り戻そうとする作戦が進行する。そこでは、奴隷同士の殴り合いや犬による処刑、灼熱の鉄箱に閉じ込めるなど、虐待が描かれつつ。

 交渉は一度は成立するが、キャンディに仕える黒人奴隷が主人公たちの目的を見抜き、ジャンゴの妻を買い取るよう話が変わる。そして握手で契約が成立する直前、ドイツ人が感情を抑えきれずキャンディを射殺、自らも撃たれる。

 ジャンゴは銃撃戦の末に捕らえられ、奴隷として遠くへ送られることになる。しかし彼は、道中で賞金首の情報を話すことで自らの価値を示し解放される。その後キャンディランドに戻り、白人たちを撃ち倒し、妻を救出。屋敷を爆破して、妻と共にその地を去っておしまい。

 本作はアメリカの奴隷制度の残酷さを容赦なく描いており、特に格闘専用奴隷や犬による処刑など、心をえぐる描写が多かったです。さらに、白人に忠実に仕える黒人奴隷が存在していたというのも知ることができました。

 一方で、ジャンゴとドイツ人のバディ・ムービー的展開は非常に面白く、特にドイツ人が街の保安官を突然射殺し、法的正当性を冷静に説明するシーンなどは、タランティーノ監督らしいユニークさが際立っていたとと思います。

 ただし後半、レオナルド・ディカプリオ演じるキャンディの登場からは、1つの会話が非常に長く続く場面が多くなり、テンポが落ちる印象もありました。特に骨格に関する話などは、観ていて集中が途切れてしまったりも。

 終盤の銃撃戦は大迫力で、血しぶきと銃声が激しく、ジャンゴが一人で白人たちをなぎ倒す様子には西部劇としての爽快感。

 ただ、ジャンゴを助けたドイツ人の内面があまり描かれず、彼の行動原理がよくわからないまま終わってしまったのは少し残念で。「我慢できなかった」という言葉も、背景が薄いため感動には至らず、ただ格好をつける人物という印象で終わってしまいました。友情や人間的な変化をもう少し丁寧に描いていれば、より心に響いたと思います。

 全体としては2時間45分と長尺ですが、奴隷制度の闇と西部劇のエンタメ性が融合した一本であり、見る価値のある映画だと思います。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2014/03/16 Blu-ray 2022/11/18 NETFLIX

監督クエンティン・タランティーノ 
脚本クエンティン・タランティーノ 
出演レオナルド・ディカプリオ 
ジェイミー・フォックス 
クリストフ・ヴァルツ 
ケリー・ワシントン 
サミュエル・L・ジャクソン 
ウォルトン・ゴギンズ 
デニス・クリストファー 
ジェームズ・レマー 
フランコ・ネロ

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