●こんなお話
アフリカの奥地でバイオレンスなゴリラに襲われる話。
●感想
ジャングルの奥地へと向かう探検隊。その目的は、財宝の謎を追い求めたり、消息を絶った仲間の行方を追ったり、あるいは人間の言葉を手話で理解するゴリラを故郷に返すことだったりと、登場人物たちの思惑が複雑に絡み合っていく旅が描かれます。さらに背景には、舞台となるコンゴの政治的な不安定さがあり、そこに軍や企業の思惑も交差して、なかなかひと筋縄ではいかない展開になっていきます。
物語が始まってすぐ、観客はさまざまなキャラクターと状況に一気に放り込まれる感覚を覚えます。それぞれに動機はあるのですが、物語がどこに向かっているのかは終盤まで明確にならず、まるで不透明な霧の中を進んでいくような印象を受けました。それでも、火山地帯に向けて進んでいく過程では、飛行機の墜落や現地民との緊張感ある対面、ジャングルでのサバイバル要素など、アドベンチャー映画らしいスリルは用意されています。
中でも印象的だったのは、突然現れる白いゴリラの存在でした。このゴリラたちは古代から財宝を守るように育てられた存在であり、知能も高く、見た目のインパクトもありました。ですが主人公たちにとっては脅威であり、特に手話を使ってコミュニケーションがとれるゴリラのエイミーが彼らに対して強い敵意を見せるのが意外で、なぜそこまで憎むのかと少し不思議な気持ちにもなりました。
映像的には、火山地帯でのクライマックスや、白いゴリラとの対決、財宝が眠る神殿のような遺跡など、目を引くシーンもたくさんあります。古代の謎に挑むという王道の展開が下地にある一方で、それを進行させるキャラクターたちの関係性や動機が整理されていない印象もあり、観ている間に少しずつ混乱が積み重なっていくような感覚もありました。
どこかで『インディ・ジョーンズ』のような冒険を期待しつつも、突発的に起こるアクションや、目的地にたどり着いてから急展開する白いゴリラたちとの戦いなど、意外性のある展開が多く、観ていてハラハラする場面もありました。ただ、その意外性がどこか整っていないまま終盤に流れ込んでいくので、ふと振り返ったときに「なぜそうなったのか」がうまく腑に落ちないまま終わってしまった印象も残りました。
個人的には、もう少しキャラクター同士の対話や、それぞれの目的の違いがぶつかるドラマの部分に深みがあればもっと入り込めたかもしれません。それでも、映像の力や、ゴリラたちの動きの生々しさ、火山地帯でのスペクタクルなど、目で追いかける楽しさはしっかりとありました。ジャンルとしてはアドベンチャー映画に分類される本作ですが、いろいろな要素を同時に盛り込んだことで、どこか不思議な味わいになっていたようにも思います。
☆☆
鑑賞日:2012/03/25 DVD
監督 | フランク・マーシャル |
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脚本 | ジョン・パトリック・シャンレイ |
原作 | マイケル・クライトン |
出演 | ディラン・ウォルシュ |
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ローラ・リニー | |
アーニー・ハドソン | |
ティム・カリー |