●こんなお話
ゴミ処理のために開発された新型ゴキブリが、人間を環境問題の原因と判断して船内で大量発生する話。
詳細ネタバレあらすじ
人間が大量のゴミを排出し、環境問題が広がる中、PDRバイオテクノロジーはゴミを食べて処理する能力を持つ新型ゴキブリを開発する。遺伝子技術によって作られたこのゴキブリは、ゴミ問題を解決するための技術として実用化が進められていた。PDRのビクターは、新型ゴキブリを大量に船へ積み込み、実用化に向けた計画を進めている。船にはビクターのほか、船長、研究員、警備担当者、船員らが乗り込み、航海士の喬江和とその娘の喬思涵も乗船している。
航海中、船は大量のゴミが付着した氷山の近くを通過する。船内では新型ゴキブリの管理が続けられていたが、船が揺れたことで管理中のゴキブリが一匹逃げ出す。その後、船内ではゴキブリの異常な動きが確認される。喬江和は周囲の状況を確認し、船の進路を調整して氷山との衝突を避ける。
そのころ、ビクターの秘書として船に乗っていたアイリーがPDRの管理区域へ侵入する。アイリーは警備担当者を襲い、ビクターのコンピューターへアクセスして新型ゴキブリに関するデータを持ち出そうとする。アイリーには、このゴキブリを兵器として利用する目的があり、PDRが開発した技術を盗み出そうとしていたことが明らかになる。
アイリーがコンピューター付近にいたゴキブリを払いのけると、そのゴキブリがアイリーに襲いかかる。さらに周囲から大量のゴキブリが現れ。アイリーは群れに襲われる。これをきっかけに、船内の各所で大量のゴキブリが確認されるようになる。
ビクターは遠隔操作によってゴキブリを停止させようとする。一度は群れの動きが止まるものの、ゴキブリは再び動き始める。警備担当者たちは銃を使ってゴキブリを撃つが、数が多く、船内への侵入を止めることができない。敬語担当者を見捨ててビクターは逃走する。ゴキブリは通路や船内の各区画へ広がり、乗組員たちは逃げながら生存者が集まる場所を探すことになる。
喬江和は喬思涵らと合流し、船内から脱出する方法を探す。ゴキブリは大量の群れとなって船内を移動し、人間を襲い続ける。生存者たちは安全な場所へ移動するが、ゴキブリはさまざまな場所から侵入してくるため、一か所にとどまることができない。
やがて船長も妻を守るためにゴキブリに襲われる。その後、生存者たちの前に船長の死体が現れるが、その身体はゴキブリによって動かされている。ゴキブリは船長の身体を利用して生存者たちに近づき、攻撃を仕掛ける。警備担当者たちは船長の身体を攻撃し、ゴキブリの群れを止めようとする。
生存者たちは、なぜゴキブリが制御不能になったのかを調べる。船内には新型ゴキブリを管理するためのシステムがあり、その中には「皇后」と呼ばれる存在が組み込まれていることが分かる。ゴキブリは単純に遠隔操作から外れて暴れているのではなく、群れとして行動し、人間を攻撃するようになっている。
さらにゴキブリの群れが集まり、複数の個体が組み合わさることで人間の姿に似た形を作り出す。そこから皇后が生存者たちに語りかける。皇后は、人間が大量のゴミを生み出していることを問題として捉え、その問題を解決するためにはゴミを生み出す人間そのものを減らす必要があるという判断を示す。
ビクターたちは皇后のシステムを停止しようとする。しかし、システムを停止してもゴキブリの活動は終わらず、群れはサーバーへ入り込む。ゴキブリは群れとして皇后の機能を維持し、人間への攻撃を続ける。
喬江和は皇后を止めるため、電気を利用して攻撃する。生存者たちはその後も船内を移動し、安全な場所へ避難する。そこで、ゴキブリを船から遠ざけるための方法を考える。船の近くには大量のゴミが付着した氷山があり、ゴキブリがゴミのある場所へ移動する性質を利用する計画が立てられる。
喬江和は計画を実行するため、ゴキブリが大量にいる船内を進む。手には火炎放射器を持ち、襲ってくるゴキブリを炎で退けながら船を氷山へ近づけるための作業を進める。ゴキブリの群れが次々に押し寄せる中、喬江和は作業を続け、船は氷山へ向かって進んでいく。
一方、安全区画には水が入り始めてしまい、ビクターは喬思涵を脱出させるため、船内の空気ダクトを利用して彼女を外へ逃がす。喬思涵が脱出した後も、ビクターは船内に残ることになる。
喬江和は船内に残ったゴキブリを処理するため、燃料に火をつける。炎は船内へ広がり、ゴキブリの群れを包み込む。喬江和自身も船内に残り、ゴキブリとともに炎に包まれる。
その後、船はゴミが付着した氷山へ接近する。残ったゴキブリの群れは船から氷山側へ移動し、低温の環境によって活動を停止する。船内で発生した大量のゴキブリの群れは処理され、喬思涵が生存者として残る。
事件から時間が経過し、成長した喬思涵は学校で子どもたちにゴミの分別やリサイクルについて教えている。大量のゴミから生まれた問題を目の当たりにした喬思涵が、次の世代に環境問題について伝えておしまい。
●感想
普通にモンスターパニック映画としてしっかり作られていて、最後まで楽しめました。大量のゴキブリが船内を埋め尽くし、人間を追いかけてくるという分かりやすい設定なので、何が起きているのかを迷わず見られます。
ゴキブリそのものは生理的に気持ち悪い存在ですが、実写のゴキブリを大量に映すのではなくCGで表現されているため、思っていたほどの不快感はありませんでした。それよりも、一匹だったゴキブリが次第に大量の群れになり、船内を一気に移動してくる場面のほうが印象に残ります。画面いっぱいにゴキブリが集まってくるので、モンスターパニックとしての見せ場になっています。
特に面白かったのが、ゴキブリの群れが集合して人間のような形になるところです。さらに、その存在が「ゴミ問題を解決するには、ゴミを生み出している人間の数を減らせばいい」という考えに行き着く展開になっています。環境問題をテーマにした作品ですが、単純に人間へメッセージを投げかけるだけではなく、それをゴキブリの反乱というモンスターパニックの設定に組み込んでいるところが面白いです。
人間がゴミを処理するためにゴキブリを作ったのに、そのゴキブリが人間こそ環境問題の原因だと判断してしまうという構図も分かりやすいです。ゴミを食べるために作られた生物が、ゴミを生み出す側の人間を排除しようとするので、環境問題への皮肉としても機能してると思いました。最後に喬思涵が子どもたちへゴミの分別やリサイクルを教える場面まで用意されているので、モンスターパニックと環境問題のテーマが最後までつながっています。
そして、人間側の武器も楽しいです。ゴキブリの群れに対してショットガンを撃ち、火炎放射器を使い、さらに消火器まで持ち出して戦うので、「大量のゴキブリと人間がどう戦うのか」という部分をしっかりモンスターパニックとして楽しめます。特に火炎放射器でゴキブリの群れを焼き払おうとする場面は、この手の作品らしい分かりやすい楽しさがあります。
個人的に笑ってしまったのは、自己犠牲を選んだ博士が最後に目にする光景で。自分が残ってゴキブリを食い止める一方、好きな女性は振り返ることもなく全力で逃げていきます。本人は自己犠牲の精神を発揮しているのに、相手はそれを振り返る余裕もなく逃げているという構図が妙に非情で、ここは思わず笑ってしまいました。
ゴキブリという身近で嫌われやすい生物を大量発生させ、それを船という逃げ場の少ない空間に閉じ込めることで、分かりやすいモンスターパニックに仕上がっていると思いました。その一方で、人間が出したゴミを処理するために生み出されたゴキブリが、人間そのものを環境問題の原因として認識するという設定があり、単なるゴキブリ退治だけで終わらない作品になっていました。
☆☆☆
鑑賞日:2026/09/21 U-NEXT
| 監督 | チャンネル・チョイ |
|---|---|
| 脚本 | チャンネル・チョイ |
| 出演 | ジン・ジア |
|---|---|
| ジャン・イーシュエン |

