●こんなお話
死神になって悪い幽霊を退治する高校生の話。
●感想
少年の真っ直ぐな瞳と感情が交錯するオープニング。母親を守ると決意する言葉が舞台の幕開けを飾るが、その演技はやや形式的で、見る者の心に入り込む前に“子役然”とした演出の枠に収まってしまっていた。入り口の時点で感情が引き寄せられることなく、観客としては少々距離を置いた視点からの鑑賞が始まりました。
物語は、幽霊が見えるという特殊な能力を持つ少年が、ある日死神の少女と出会うことで大きく動き出す。彼女の力を半ば強制的に受け継いでしまった主人公は、その日から死神の務めを担うこととなり、非日常の世界へと足を踏み入れていく。こうした設定は非常に興味深いのだが、そこで立ち上がってくるのは膨大な固有名詞と専門用語の波。物語の舞台設定や死神のルール、冥界の構造などが次々とセリフで説明されていくものの、原作への予備知識がない場合には内容の把握が難しく、何を理解していれば物語を楽しめるのかが掴みにくい構造と感じました。
死神の世界には厳格な規律があり、その掟を巡って物語は展開していく。掟に背くこと、命の扱い、役割と責任。登場人物たちの苦悩や葛藤は丁寧に描かれていたものの、それが物語の緊張感に直結することはあまりなく、主人公たちの選択がどこか遠くの話に感じられてしまうのは、やはり背景設定の複雑さが影響していたのかもしれないです。
アクションシーンにおいても、序盤から中盤にかけてのCGで描かれる敵との戦い、そしてクライマックスの死神同士の斬り合いに至るまで、一連のバトルはどこか単調な印象が残りました。敵の脅威が緻密に構築されることなく、最強とされる悪霊もあっさりと打ち倒されてしまうあたり、クライマックスの到達点に高揚感を覚えるには少々説得力に欠ける展開だったように感じます。
また、主人公がたびたび致命的な打撃を受けながらも何度も立ち上がる描写には、復活の理由づけが見当たらず、あまりに不死身な様子がむしろ不気味に映ることもあった。死と隣り合わせの死神の世界に身を置きながらも、死の実感が伴わないというのは、本作における生命観の描写としてやや不安定な印象も残ります。
とはいえ、興味深い点もある。たとえば、死神の訓練方法について。霊力という曖昧なものを鍛える手段が、まさかの体育会系スポ根的な方法であることが示される場面には意外性があり、死神の世界観が少しだけ身近に感じられた瞬間でした。
物語の全体像としては、ファンタジーと現実が交錯する中で、命の意味や選択の重さを問うていることが伝わってくる。深く読み解けば、そこには多くのメッセージが込められているのだと感じさせてくれる映画でもあったと思います。
☆☆
鑑賞日: 2018/12/09 Blu-ray
監督 | 佐藤信介 |
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脚本 | 羽原大介 |
佐藤信介 | |
原作 | 久保帯人 |
出演 | 福士蒼汰 |
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杉咲花 | |
吉沢亮 | |
早乙女太一 | |
MIYAVI | |
真野恵里菜 | |
長澤まさみ | |
江口洋介 |
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