●こんなお話
いろんな権力者に利用されて使い捨てられたパイロットの話。
●感想
トム・クルーズ特有のあのニヤケ顔が、今回の役に絶妙にハマっていたと思います。彼が主演でなければ、正直この作品はここまで印象に残るものにはならなかったかもしれないです。トム・クルーズの軽妙な芝居と、どこか憎めないお調子者キャラが物語のテンポと相性抜群でした。
物語は、大手航空会社を辞めた男がCIAの仕事に手を染めていき、やがて麻薬カルテルとつながりを持つようになるという実話ベースのピカレスク作品。テンポよく展開されていくため、飽きずに最後まで見続けられました。悪事に手を染めながらもどこかコミカルで、本人には深刻さの欠片もない様子が逆にスリリングだったと思います。
国境を軽々と越えて犯罪を繰り返すスケールの大きさと、その裏で起こる「お金の隠し場所に困る」というユーモラスな展開が面白いです。あまりにも巨額な金が動くために、犯罪の重さが逆にピンとこない不思議さがありました。そして物語後半、いよいよピンチが訪れる頃には、こっちの感覚もずれてしまっていて「このヤバさはどのくらいなんだろう?」と思っていた矢先のラストには驚かされるものでした。
80年代アメリカの無茶苦茶な夢や勢い、ある意味での“自由さ”を体現したような世界観が描かれていて、ある種のアメリカンドリームの異常さを覗き見ることができたのも面白いです。欲を言えば、邦題は内容のテイストと少しズレている気もしたりもしましたが、それを差し引いてもトム・クルーズの魅力と演出のテンポの良さで十分楽しめた作品でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2018/03/22 Blu-ray
リンク
監督 | ダグ・リーマン |
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脚本 | ゲイリー・スピネッリ |
出演 | トム・クルーズ |
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ドーナル・グリーソン | |
サラ・ライト |
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