映画【浅草キッド】感想(ネタバレ)

asakusakid
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●こんなお話

 ビートたけしが浅草の芸人の深見千三郎の弟子入りして芸事を学びテレビの世界で羽ばたいていく話。

●感想

 テレビの収録に入る人気芸人となったビートたけしが回想するところから始まり、ストリップ劇場のエレベーターボーイをしていて、そこでコントをやっている芸人の師匠に弟子入りして頑張っていって、コントから漫才の世界へ。そのために師匠の下から離れて…。という成り上がりもの面白さがあります。オープニングで流れる「浅草キッド」の歌が最高で、そこが1番泣けました。

 主人公のポジション立場が変化していく面白さに昭和40年代の近過去のどこか懐かしい感ノスタルジー感が伝わってきて、さらに柳楽優弥さんのビートたけしさんのなりきり感も素晴らしく、ただのモノマネではないビートたけしに似ているけど映画のキャラクターとしてのタケに見えてそれだけでも成功している作品だと思いました。それにさすがの大泉洋さんのお芝居もあり、最初は師匠として弟子に教える大御所という感じですが、後半になるうちに1人でしみじみ語るお芝居が多くなっていきますが。それもしんみりとさせてくれる台詞まわしとかもさすがでした。仏壇の亡き奥さんの遺影に向かって「タケがよぉ」と語るとかそれこそ安っぽいコントみたいな芝居になりそうですが、ちゃんとしんみりと感動できるシーンになっていました。

 主人公のタケが大学辞めて1度人生を切ってストリップ劇場で芸人に弟子入りして、そこのストリッパーと仲良くなり交流して彼女の歌を何とかみんなに認めてもらおうと頑張ったり。ストリップ劇場というのを知らないので、女性が踊るだけでなくコントもやるんだと勉強になりました。それに北野映画でよく出てくる指をつめた人間はまっすぐ泳げない。というギャグが深見千三郎さんから来ているのを初めて知りました。

 ただ1人の芸人を追いかけて立場が変化していく物語では2時間では短く感じてしまって、ダイジェストのような印象を受けました。主人公が師匠とコントをやったりタップを教えてもらうというのがモンタージュとして描かれて、あっという間にお客さんから爆笑をとっていくので、普通に主人公が天才にしか見えなかったです。「笑われるな、笑わせるんだ」「常日頃、お笑いを考えろ」とハイヒールを履かせるようにしたりとかの教えはありましたが。師匠からどういうことを教わったんだろう? タップとかもいつ習っているのかわからなかったです。

 それにヒロインとして登場するストリッパーの門脇麦さんとの交流もビートきよしさんから漫才を誘われて、1度は断るけど。やっぱりフランス座でのトイレ掃除中の屈辱やストリッパーのインコのお世話などの現状に満足できず漫才をやることにして師匠と別れる。という決断をして、すぐにフランス座を飛び出しちゃって、ヒロインとの気持ちは特に何もなかったのだろうか? ヒロインから声をかけられなかったら何も言わなかったのだろうか? とヒロインに対しての感情はどういうものだろうかと思ってしまいました。

 それに特殊メイクで顔のドアップからスタートするビートたけしさんというのも似ていて驚くけれど、劇団ひとりさんのゴッドタンでの歌の特殊メイクみたいに見えてしまって笑いそうになってしまいました。それこそコントみたいに思ってしまいます。

 エンディングで現在のタケがフランス座を巡って当時の仲間を回想するカットとかは、タケが死んじゃったのかな? という長回しでした。

 とはいえ、かっこいい芸人深見千三郎そしてビートたけしの生き様を見られる1本であり、松村邦洋さんの声が最高だと再確認できる映画でした。

☆☆☆

鑑賞日:2021/12/14 NETFLIX

監督劇団ひとり 
脚本劇団ひとり 
原作ビートたけし
出演大泉洋 
柳楽優弥 
門脇麦 
土屋伸之 
中島歩 
古澤裕介 
小牧那凪 
大島蓉子 
尾上寛之 
風間杜夫 
鈴木保奈美 
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