●こんなお話
品川のホストクラブで借金を明日までに返済しなくちゃと焦る夜明けまでの話。
●感想
借金1,000万円を背負った主人公が、野球賭博で一時的に大金を手に入れ、意気揚々とホストクラブへと戻ってくる。オーナーや同僚のホストたちと共に、その喜びを分かち合いながら朝を迎えるという幸せなひととき。しかし翌朝、主人公が借金返済に向けて動き出そうとしたところ、なんとお金がすっかり消えてしまっている。
動揺する主人公に、さらに追い打ちをかけるように「翌日の午後6時までに返済しなければ命はない」と借金取りから迫られ、事態は急展開。主人公はクラブのナンバーワンホストや真面目な同僚ホストに相談を持ちかけながら、打開策を模索していきます。
その中で、支払いができないという女性客が訪れ、主人公は最初は冷たく追い返そうとするものの、事態は複雑な方向へ。さらには、思いがけず父親が登場し、ホストとして接客を始めるという。添い寝をするだけで1,000万円を差し出すという謎のマダムの話も持ち上がり、主人公たちは選択を迫られます。
借金取りが現れるたびに隠れたり、睡眠薬を使って一時しのぎをしようとしたり。さらに「新人ホストがすごい」という噂を聞いて現れた人物から「1,000万円をあげよう」という申し出があり、主人公は思わず「なんでもする」と即答してしまいます。
しかし、それでも借金は返済できず、絶望した主人公は女性と共に自殺を図ろうとします。ところが、結果的に女性だけを川に突き落としてしまい、自身も飛び込もうとしたその瞬間、父親に止められます。結局、父親が995万円を肩代わりして返済し、残り5万円をどうするか悩んだ末、主人公はすべてを諦めかけます。
そんなとき、新しいクラブのオーナーとして登場したのは、なんと先ほどまで自殺を共にしようとしたあの女性客で、彼女は、主人公のギャンブル癖を懲らしめるために、すべてを仕組んでいたのだと明かしていっておしまい。
本作は、福田雄一監督らしい軽快でテンポの良いコメディ作品であり、個性豊かなキャラクターたちがハイテンションで織りなす騒動が見どころだと思いました。序盤のムロツヨシさんのテンションについていけるかやや不安を感じたものの、物語が進むにつれて、田舎からやってきた借金持ちの女性客の登場から笑いが加速し、100分間飽きることなく楽しませてくれる作品でした。
特に吉岡里帆さんが演じるヒロインの、弾けたコメディエンヌぶりと物語のラストに見せるギャップはよかったです。
物語の舞台はホストクラブの内部のみで展開され、基本的には登場人物の出入りによって物語が進行していく、まさに舞台劇的な構成で、借金返済を巡るドタバタだけというシンプルなプロットながら、その場その場の笑いが積み重なっていくことで、軽快で楽しいコメディ映画だと思います。
ハイテンションな演出が多少疲れる面もあるかもしれませんが、深夜の30分ドラマと映画の境界線を考えさせられるような作品でした。
☆☆☆
鑑賞日: 2016/01/10 Blu-ray 2025/05/09 WOWOW
監督 | 福田雄一 |
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脚本 | 福田雄一 |
出演 | 菅田将暉 |
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城田優 | |
若葉竜也 | |
吉岡里帆 | |
柿澤勇人 | |
松下優也 | |
新井浩文 | |
ムロツヨシ | |
佐藤二朗 |