映画【悪女/AKUJO】感想(ネタバレ):韓国映画のクセと魅力、そして惜しさ

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●こんなお話

 犯罪組織で殺し屋として育てられた主人公が国家の暗殺者集団で教育されて殺しの仕事していくうちにいろんな大人たちに振り回される話。

●感想

 映画冒頭、主観視点で展開されるアクションシーンから始まるが、この演出がまるでセガサターン時代のシューティングゲームを思わせるような古臭さがあって、個人的にはツカミとしてあまりうまくいっていないように感じましたた。魚眼レンズでぐるぐる振り回すようなカメラワークも視認性が悪く、状況が把握しにくくなっていて、せっかくのアクションなのに逆に見づらさだけが印象に残ってしまいました。

 映画全体のアクションシーンも、長回しっぽいカメラワークで構成されているが、テンポや構図の工夫があまりなく、ひたすら単調。動きそのものもキレがないわけではないですが、演出の影響で緊張感が続かず、アクション映画としての醍醐味をあまり味わえなかったです。

 ストーリーに関しても、時間軸が行ったり来たりする構成になっていて、感情移入や状況把握が難しいです。主人公が捕まって国家の暗殺者として育成されるくだりは興味深かったですが、そこに少女時代の育ての親との出会いや、殺し屋として成長していくエピソードが突然差し込まれ、場面転換が唐突すぎて戸惑いの連続でした。

 後半になると、国家組織を卒業し、娘と平穏な生活を送ろうとする流れに切り替わりますが、ここでは恋愛要素が強くなり、韓国映画らしさが前面に出てきてテンポが急激に落ちます。男性捜査官が「結婚すればポイントアップ」という国家組織の変なルールは面白かったですが、映画全体の緊張感を一気に削いでしまっていたのが惜しかったです。

 主人公がいくつかの暗殺任務に就くシーンも描かれますが、そのほとんどが失敗に終わってしまい、冒頭で無双していた強さとのギャップが大きく、説得力が感じられなかったです。「この人は本当に凄腕の殺し屋なのか?」と疑問が残ってしまったのは否めないです。

 また、育ての親である犯罪者や、国家組織のトップたちの行動原理がいまいち理解しづらく、なぜそこまでしているのか、観客側が感情や理屈でついていけないまま物語が進んでいく感覚もありました。

 全体として、アクションの迫力で押し切るタイプの映画だと思うのに、そのアクションが視覚的にも演出的にも入り込みづらかったのが致命的でした。

 ただ、「韓国映画といえば斧」という印象を強化してくれる一本でもありましたし、どんな場所にも完璧に設置されている監視カメラから、上層部の監視体制の徹底ぶりが学べる点はなかなか面白かったです。

☆☆☆

鑑賞日: 2018/02/13 109シネマズ川崎 2018/09/12 Blu-ray

監督チョン・ビョンギル 
脚本チョン・ビョンギル
出演キム・オクビン 
シン・ハギュン 
ソンジュン 
キム・ソヒョン 

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