映画【頑張れ!グムスン】感想(ネタバレ):育児とアクションが交差する一夜の冒険!ペ・ドゥナ主演の奮闘劇

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●こんなお話

 旦那さんがぼったくりバーに捕まったので、赤ん坊を連れて夜の街へと繰り出す奥さんの話。

●感想

 深夜、赤ん坊の激しい夜泣きに眠れない日々が続く中、育児と家事に追われる主人公。朝になれば、夫はワイシャツの仕上がりに文句をつけながら出勤していき、仕事終わりには会社の飲み会に強制参加。主人公はというと、赤ん坊を背負ったまま家事をこなし、誰の助けも得られず孤軍奮闘していた。

 そんなある晩、夫がぼったくりバーに引っかかり、チンピラから脅迫の電話が入る。困惑しながらも夫を助けるため、赤ん坊を背負ったまま夜の繁華街へと飛び出していく主人公。しかし、お目当ての店にはなかなかたどり着けず、途中で赤ん坊を一時的に見失ってしまう。幸いホームレスの男性が保護してくれていたが、育児中の母親が夜の街で赤ん坊と共にさまようというのは、現実味を超えた状況ではある。 

 さらに物語は思わぬ方向へ転がっていき、暴力男に絡まれていた女性を、かつてバレーボール選手だった主人公が華麗なスパイクで救出。それがきっかけとなって、ヤクザの組長にも目をつけられ、街中を逃げ回るはめになってしまう。途中からは主人公の行動がきっかけで、ヤクザの組同士の抗争にまで発展しかねない空気が生まれ、スケールはどんどん大きくなっていく。

 終盤、ついに夫が捕まっている店にたどり着き、チンピラのボスと直接対決。壮絶な一戦の末、泥酔した夫を救出して家へと戻る。しかし、家の中は散らかり放題で、両親からは心配と失望の入り混じった視線を向けられる。そして、今日一日の出来事を思い返しながら、静かに涙を流す主人公の姿で物語は締めくくられる。

 赤ん坊が誰からも男の子と間違えられるほどたくましいという設定があるにせよ、マンションの屋上から落下しそうになったり、背中に背負ったまま激しく走り回ったりという描写には、やや無理を感じた場面もあったかと思います。ただ、それらもすべてコメディという文脈で描かれているため、あまり深く考えずに楽しむことが求められているのかもしれません。

 冒頭で、家族の置かれた状況を簡潔に提示し、一気に夫救出劇に展開していくテンポの良さはとても好感が持てました。その後、街を駆け巡る追走劇や、ヤクザとの絡みなどもテンション高く描かれており、エンタメ作品としてはなかなかのスピード感でした。ただ、途中からややドタバタ色が強くなり、せっかくの主人公の背景や育児要素が少し置き去りになっていたのは、惜しいと感じる部分でした。

 特に、赤ん坊を背負って奮闘する母親の姿が、後半になるにつれて描かれなくなり、赤ん坊を預けて主人公が単独行動に移行するあたりからは、やや作品の軸がぶれてしまった印象も受けました。そうした点で、「頑張れ、グムスン!」というエールを送りたくなるような感情移入がしにくくなってしまったのは、少し残念に思います。

 とはいえ、主演のペ・ドゥナさんが持つ魅力は非常に大きく、コメディとアクションを兼ね備えた演技に自然と引き込まれました。彼女の存在感だけでも本作を楽しむことができたと思います。日常に疲れた母親が、夜の街で自分なりに戦いながらも家族を守ろうとする姿を、テンポ良く軽快に描いた一作でした。

☆☆☆

鑑賞日: 2015/12/30 DVD 2023/10/31 Amazonプライム・ビデオ

監督ヒョン・ナムソプ 
脚本ヒョン・ナムソプ 
出演ペ・ドゥナ 
チュ・ヒョン 
キム・テウ
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