映画【ゴジラVSメカゴジラ】感想(ネタバレ):メカゴジラの勇姿と伊福部サウンドが響く90年代怪獣映画

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●こんなお話

 ゴジラ対策の兵器のメカゴジラがゴジラと戦う話。

●感想

 伊福部昭による重厚な音楽が響きわたるなか、メカゴジラが格納庫のような施設で静かに組み上げられていくオープニングが展開され、開始早々から映像と音楽の融合によって一気に心をつかまれました。特撮ファンにはたまらない導入だったと思います。そして川北紘一監督による特撮演出がふんだんに盛り込まれた戦闘シーンの数々も、熱線、レーザー、ミサイルが飛び交うド派手なアクションの応酬で、見ごたえたっぷりな仕上がりとなっていました。

 メカゴジラの操縦シーンでは、搭乗員たちがなぜか英語で会話を交わしながら操作しているのが印象的で、国際的な作戦の雰囲気が漂っていたのも独特のかっこよさがあったように感じます。画面越しに伝わる緊張感とともに、ゴジラとメカゴジラが正面から激突するシーンも迫力があり、シリーズの中でも戦闘描写に関してはかなり熱量の高い1本だったのではないかと思いました。

 物語としては、ベビーゴジラと呼ばれる新たな存在が登場し、それを探すゴジラが地上をさまよう中で、人類が対抗手段としてメカゴジラを出動させるという展開。王道の怪獣プロットではありますが、それを彩るアクションと音楽の演出によって、ストーリー自体はシンプルでありながら映像的な満足感をしっかり得られる作りになっていたと感じます。

 ただ、主人公の描写に関しては少し混乱させられる部分もありました。ゴジラに対抗したいのか、ヒロインとの関係を優先しているのか、それとも兵器開発への野心を持っているのか、その動機が場面によって揺れ動いて見えてしまい、人物としての芯がやや不明瞭な印象も受けました。軽薄なキャラクターとまでは言いませんが、もう少し一貫した行動原理が描かれていれば、物語全体への没入感もさらに深まったのではないかと思います。

 また、ゴジラとラドンの関係性も見どころのひとつですが、終盤で追い詰められたゴジラが、なぜかラドンと合体してパワーアップするという展開にはやや面食らいました。兄弟のような存在であることを考えれば意味がなくはないのですが、劇中でその経緯があまり語られないため、少し唐突に感じられる部分ではあります。

 それでも、怪獣総進撃マーチが流れるだけでテンションが一気に上がってしまうという、怪獣映画ファンならではの感覚を存分に味わえる作品だったと思います。音楽と映像、そして怪獣たちの存在感。それらが噛み合ったときの高揚感は、やはりゴジラシリーズならではの魅力だと改めて感じさせられました。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2016/07/21 Hulu

監督大河原孝夫 
特技監督川北紘一 
脚本三村渉 
出演高嶋政宏 
佐野量子 
小高恵美 
原田大二郎 
宮川一朗太 
中尾彬 
佐原健二 
高島忠夫 
ラサール石井 
川津祐介 

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