●こんなお話
ある離島で島民がゾンビになっちゃって、生き残った島民とかやくざとかが入り乱れる話。
●感想
ヤクザの抗争に揺れる島を舞台に、警官や医者、漁師、そしてゾンビまでが交錯する物語は、サバイバル映画としては多彩な要素が盛り込まれているものの、少々情報量が過剰に感じられる部分もありました。主人公と思われる哀川翔さん演じるヤクザの親分が登場しますが、彼が島に向かう明確な目的が薄く、その存在意義が掴みづらい印象を受けました。
物語の序盤では、ヤクザ同士の抗争や島での麻薬の蔓延、家出をした女子高生、医者や警官の描写が並行して進みます。しかし、女子高生が漁師に突然喧嘩を仕掛ける展開や、ヤクザたちの子供じみた争いはリアリティが乏しく、観ていてついていけない部分が多々ありました。特にコメディ要素が盛り込まれているものの、笑いどころとして成立しているとは感じられず、会話のテンポも速いながらも滑らかさに欠け、ボケとツッコミのやり取りが残念ながら空回りしているように思えました。
品川監督の得意とするアクションシーンに関しても、今回はスローモーションが多用されすぎてしまい、長尺のためにリズムを損なってしまった印象が強かったです。娘を探しに島へ訪れるヤクザのエピソードも、過去の回想シーンが表面的で深みを感じられず、家族の物語として感動的に描かれているはずが、無表情に見守ってしまうような淡白さが残念でした。
また、窪塚洋介さん演じる警官が「人を撃ちたい」と言いながらも突然自己犠牲の行動に出るという展開も、なぜ彼がそのような選択をするのか十分に描写されず、感動を生み出すには至りませんでした。女子高生が泣く理由やキャラクターの背景も掴みづらく、物語に感情移入するのが難しく感じられました。
関西からやってきたヒットマンの3人組も、常識を逸脱したバイオレンスキャラクターとしての魅力はあるのに、コメディに切り替わるとその怖さが薄れてしまい、もったいなさを感じる部分がありました。
全体として、主人公たちが島に辿り着くまでに40分近くを費やし、さまざまな要素を無理に詰め込もうとしたために焦点が定まりにくい作品になっているように思います。コメディとゾンビもの、アクションが混在する中でメリハリが弱く、結果的に観る者に強い印象を与えられていません。とはいえ、特殊メイクで表現されたゾンビのリアルさや、演出面での工夫は面白い1作でした。
☆☆
鑑賞日: 2015/05/19 TOHOシネマズ南大沢 2017/02/02 NETFLIX
監督 | 品川ヒロシ |
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脚本 | 品川ヒロシ |
出演 | 哀川翔 |
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鈴木砂羽 | |
鶴見辰吾 | |
木村祐一 | |
宮川大輔 | |
RED RICE | |
大悟 | |
川島邦裕 | |
山本舞香 | |
水野絵梨奈 | |
般若 | |
篠原ゆき子 | |
シシド・カフカ | |
風間俊介 | |
窪塚洋介 | |
中野英雄 | |
河本準一 | |
玉置浩二 | |
小沢仁志 |
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