映画【空の大怪獣 ラドン】感想(ネタバレ):特撮の完成度と都市破壊の迫力に注目!

rodan
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●こんなお話

 熊本の阿蘇から現れたラドンと人類の戦いの話。 

●感想

 1956年という制作年を考えると、本作の特撮の完成度は本当に驚かされます。特に冒頭、ヤゴの怪物との洞窟内での戦いのシーンは、その時代では考えられないような映像表現と緊張感がありました。しかもこのヤゴの怪物は、後に登場する巨大怪獣ラドンの“餌”であり、そこからスケールが一気に広がっていく展開も見ごたえいっぱい。

 ラドンは空を飛び、飛行のたびに生じる衝撃波で街を破壊していく。その描写が後半にかけての大きな見どころで、特に街を吹き飛ばす場面の連続は圧倒的。建物が崩れ、車や人が吹き飛ばされていく様子を、ミニチュアと特撮技術でここまで見せてくるのは当時の水準を超えているのではないかと驚愕です。とにかく“破壊”の映像に集中した怪獣映画としての迫力がすさまじかったです。

 怪獣パートの迫力に比べると、人間ドラマはやや印象が薄い印象。ラドンの生態を科学的に説明するような場面は興味深く、特撮とのバランスも取れているのだけれど、主人公とヒロインの記憶喪失を絡めたエピソードは、物語の序盤と終盤に少し出てくる程度で、掘り下げが浅い印象でした。

 せっかくのドラマが中途半端で、主人公たちの関係が物語の芯になっていないため、それならいっそ描かない方が良かったのではと感じてしまう部分もありました。ただし、それを補って余りあるほどに、怪獣描写の完成度が高く、観ていてまったく飽きさせなかったです。

 短めの上映時間でテンポもよく、怪獣映画の原点を楽しみたい人にはぴったりの一本で。ラドンというキャラクターの存在感と、都市破壊シーンの連続によって、古さを感じさせず今でも十分に楽しめる作品になっていると思いました。

☆☆☆☆

鑑賞日: 2019/03/27  BS12 トゥエルビ

監督本多猪四郎 
特技監督円谷英二 
脚色村田武雄 
木村武 
出演佐原健二 
平田昭彦 
田島義文 
松尾文人 

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