●こんなお話
すべてを失ったピーター・パーカーが、新たな人生と新たな敵に挑む話。
●感想
ドクター・ストレンジの魔術によって世界中の人々からピーター・パーカーの記憶が消えてから4年。ピーターは正体を明かさないままニューヨークの平和を守るスパイダーマンとして活動を続けていた。しかし、大切な人々とのつながりを失った彼は、孤独な日々を送り続けていた。
ある日、暴走した戦車が街を破壊しながらダメージ・コントロール局(DODC)の施設へ突入する。戦車を操っていた高齢女性はテレパシー能力者に精神を支配されており、その能力者は危険が迫るたびに別の人間へ意識を移し替えることで追跡を逃れていた。その混乱の最中、かつてピーターが逮捕したスコーピオンことマック・ガーガンも刑務所から脱獄する。
事件を調べ始めたピーターはエレーナ・ベロワを訪ねる。彼女は、何者かが「V-Max」という言葉を探し続け、その情報を求めてDODCを何度も襲撃していると語る。ピーターはDODC職員ビル・メッツガーを問い詰めるが、彼はテレパシー能力者について何も知らないと答え、事件への関与を否定する。
そんな中、大学を卒業したネッド・リーズとMJがニューヨークへ戻ってくる。偶然再会した二人は当然ピーターを覚えておらず、MJにはすでに恋人がいた。ピーターは失われた絆を改めて実感し、大きな喪失感を抱える。
翌朝、ピーターは自身の身体に異変が起きていることへ気付く。五感はこれまで以上に鋭くなり、ウェブシューターを使わなくても手首から直接クモ糸を放出できるようになっていた。能力は明らかに新たな進化を遂げ始めていた。
その頃、再びDODCへ侵入しようとしたガーガンを追跡するが、彼もまたテレパシーで操られていた。挑発されたピーターは抑えきれない怒りに支配され、自分でも制御できないほど暴走し、ガーガンを意識不明になるまで殴り続けてしまう。
自身の突然変異を危険視したピーターはブルース・バナー博士を訪ねる。ハルク化を抑制するインヒビターについて助言を受けた彼は、その理論を応用して自身の変異を抑える装置を開発。同時に、敵のテレパシー能力を無効化する第二の装置も製作し始める。
しかし装置が完成する前に、テレパシー能力者が姿を現し、MJを狙うことを示唆する。ピーターは急いでMJの元へ向かい避難させるが、敵はMJへと姿を変えて彼を欺く。油断したピーターはキスを交わした瞬間に正体を暴かれそうになるものの、辛うじてMJを救出することに成功する。敵は逃げ去るが、本来の姿へ戻った一瞬をHUD機能で撮影し、重要な手掛かりを得る。
MJを危険から遠ざけるため、ピーターはパニッシャーことフランク・キャッスルの隠れ家へ彼女を避難させる。キャッスルの装備とMJの協力を受けて二つの抑制装置を完成させ、さらに写真を解析した結果、テレパシー能力者の正体がジーン・グレイであることを突き止める。
やがてジーンは自らDODCを襲撃し、精神支配したハルクまで戦闘へ投入する。ピーターとキャッスルは共闘し、激闘の末にジーンを制圧してメッツガーへ引き渡す。その際、メッツガーはジーンが「サラ」という人物を探していたと打ち明ける。
その後、MJはピーターが過去に自分とネッドへ残していた、記憶消去の魔術について説明した手紙を発見する。ピーターはすべての真実を明かすが、MJは「私はあなたを知らない。その気持ちには応えられない」と静かに伝える。それでも彼女はピーターを家へ招き、ネッドも交えて三人は穏やかな時間を過ごす。
しかし、MJが「精神支配されていた間の記憶は残っていない」と話したことで、ピーターはメッツガーの証言に矛盾を見つける。エレーナがDODCの極秘資料を調査した結果、サラはジーンの妹であり、DODCによって誘拐され人体実験の対象になっていたことが判明する。
唯一の手掛かりだった「V-Max」は、サラがテレパシーで送り続けていた言葉だった。しかしメッツガーは意味を知らないと言い張り、なおもジーンを利用した精神実験を続けていた。
やがてジーンは、「V-Max」が自分の独房の換気口に書かれていた文字であり、妹サラが命を落とす直前に最後に目にした言葉だったことを知る。妹を失った悲しみと怒りが爆発し、その強大なテレパシー能力はニューヨーク中の人々を精神支配していく。
テレパシーへの耐性を持つピーターはDODCへ乗り込むが、圧倒的な力を持つジーンの前に敗北寸前まで追い詰められる。さらに精神支配されたザ・ハンドの忍者たちが襲い掛かり、激しい戦闘が繰り広げられる。
窮地に立たされたピーターは、自らインヒビターを取り外し、身体の変異を完全に受け入れる決断を下す。怪力や俊敏性は飛躍的に向上し、有機クモ糸も自在に操れる新たな姿へ覚醒する。
最終決戦でピーターは自ら心を開き、ジーンに記憶を読ませる。そこで彼女は、叔母メイがピーターの能力を恐れることなく、ありのままの彼を受け入れ愛し続けてくれた記憶を目の当たりにする。ピーターは、自分もまた大切な人を失った悲しみを知っていると語り、ジーンへ寄り添おうとする。
その瞬間、外部からジーンを狙撃しようとしたフランク・キャッスルの銃弾を止めるため、ピーターは身を投げ出して致命傷を負う。
病院で目を覚ましたピーターにキャッスルは、瀕死だった彼の命を救ったのはジーンだったと告げる。事件後、深い罪悪感を抱いたジーンは誰にも告げず街を去り、一方でDODCは違法な人体実験や不正行為の疑いで正式な調査を受けることとなる。
すべてが終わったあと、ピーターは街で偶然ネッドを見つけて挨拶をしておしまい。
アクションシーンは全体を通して非常に見応えがありました。特にザ・ハンドの忍者たちがアクロバティックな動きで次々と襲い掛かってくる場面は迫力があり、スパイダーマンならではの立体的な戦闘との相性も抜群でした。
冒頭の暴走した戦車を止めようと奮闘するシーンもスケール感があり、街中を縦横無尽に駆け回るスパイダーマンのアクションを存分に楽しめました。全体的にカメラワークも見やすく、スピード感がありながら状況を把握しやすい映像になっていた点も好印象です。
さらに、スパイダーマンとフランク・キャッスルが共闘し、精神支配されたハルクと戦う場面は本作を代表する見せ場でした。それぞれ異なる戦闘スタイルが組み合わさり、迫力十分のアクションに仕上がっています。
一方で、ドラマパートは少し長く感じました。ピーターとMJの「覚えている・覚えていない」という関係性や、ジーンと妹サラの過去を描く回想など、人物同士の会話が中心となる場面では物語のテンポが落ち、上映時間2時間20分の長さを意識する場面もありました。
アクションの完成度が高かっただけに、ドラマパートにももう少し緩急があれば、さらに満足度の高い作品になっていたと感じます。それでも、進化したスパイダーマンの新たな能力や、フランク・キャッスルとの共闘、ハルクとの激闘など、アクション映画としての魅力は十分に味わえる一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2026/08/03 イオンシネマ座間
| 監督 | デスティン・ダニエル・クレットン |
|---|---|
| 脚本 | クリス・マッケナ |
| エリック・ソマーズ | |
| 原作コミック | スタン・リー |
| スティーヴ・ディッコ |
| 出演 | トム・ホランド |
|---|---|
| ゼンデイヤ | |
| セイディー・シンク | |
| ジェイコブ・バタロン | |
| ジョン・バーンサル | |
| トラメル・ティルマン | |
| マイケル・マンド | |
| マーク・ラファロ |

