●こんなお話
トロイア戦争を終えたオデュッセウスが、故郷イタカと妻ペネロペのもとへ帰るまでに、怪物や神々、魔女などに遭遇しながら数々の試練を乗り越えていく話。
詳細ネタバレあらすじ
トロイア戦争の終盤、ギリシャ軍はトロイアの城を攻略するため、巨大な木馬を利用した作戦を実行する。オデュッセウスは兵士たちを木馬の内部に潜ませ、ギリシャ軍の船を海へ退かせる。トロイア側は残された木馬を戦利品として城内へ運び込む。木馬のそばに残されたシノンはトロイア軍に捕らえられるが、木馬は女神アテナへの供物だと説明する。トロイア側はシノンの説明を信じ、木馬を城内へ入れる。
夜になると木馬の中に隠れていた兵士たちが外へ出て、城門を開く。ギリシャ軍がトロイアへ侵入し、戦闘が始まる。トロイアの街はギリシャ軍によって攻撃され、住民が殺害され、建物が破壊される。オデュッセウスはトロイア攻略を成功させるが、この作戦にはシノンを利用することも含まれていた。シノンはトロイア陥落の過程で死亡。
シノンには、オデュッセウスの軍に参加するまでの経緯があった。イタケではトロイア遠征に参加する兵士を選ぶためのくじが行われ、アンティノオスが兵士に選ばれる。アンティノオスは自分が戦争へ行くことを避けるため、シノンを身代わりとして送り出す。シノンはアンティノオスの代わりにトロイアへ向かい、オデュッセウスの軍に加わる。
トロイア戦争が終わると、オデュッセウスは部下たちと船でイタケへ向かう。オデュッセウスの帰還はすぐには実現せず、航海の途中で船と部下を失っていく。
一方、イタケではオデュッセウスの帰還を待つペネロペと息子テレマコスが暮らしている。テレマコスは成長し、父親が長期間戻らない状態の中で王宮を取り巻く状況に対応することになる。王宮にはペネロペとの結婚を求める求婚者たちが集まり、その中心にアンティノオスがいる。アンティノオスたちは王宮に滞在し、オデュッセウスが戻らないことを利用して王位とペネロペを手に入れようとする。
テレマコスは父親の消息を知るために旅に出る。スパルタを訪れ、トロイア戦争を生き延びた人物からオデュッセウスについての情報を集める。テレマコスは父親がどこにいるのかを確認するため、各地を訪ねていく。
そのころオデュッセウスたちは航海を続け、巨大なキュクロプスのポリュペモスと遭遇して食べられたりしてピンチになるが、オデュッセウスたちはポリュペモスのいる洞窟から脱出し、再び船で海へ出る。
オデュッセウスたちはさらに航海を続けて、巨大なラエストリュゴン族と遭遇し、船団が攻撃を受ける。多数の船が破壊され、部下たちが命を落とす。オデュッセウスは残った船で航海を続ける。
その後、オデュッセウスたちは魔女キルケのもとへたどり着く。キルケの力によって部下たちが豚の姿になる出来事が起こる。オデュッセウスはキルケと対峙し、部下をブタから人間に戻して、再び航海へ出る。
オデュッセウスは死者の世界へ向かい、そこで過去に死亡した人物たちと対面する。その中にはシノンもいる。シノンは自分がアンティノオスの身代わりとして戦争へ送られたことをオデュッセウスに示し、自分が持っていた兵士選抜のくじを渡す。オデュッセウスはそのくじを持ってイタケへ戻ることになる。
航海を続けたオデュッセウスは、牛を食べてはいけないという警告を無視した部下たちはその後、嵐に襲われて、オデュッセウス、一人で海を漂うことになる。オデュッセウスはカリュプソが暮らす島へ流れ着き、そこでカリュプソと暮らすことになる。
カリュプソはオデュッセウスを島に留める。オデュッセウスは長期間島から離れることができず、イタケへの帰還も果たせない。7年が経過する間に、オデュッセウスは戦争や航海で経験した出来事を抱えながら島で暮らす。
やがてオデュッセウスは島を離れる決意をして、再び海へ出る。筏で航海するが、海上で嵐に遭遇する。オデュッセウスは漂流を続け、長い航海を経てイタケへ戻る。
オデュッセウスは帰還したことを隠し、物乞いの姿になって王宮周辺へ入る。家臣のエウマイオスと接触し、イタケの現在の状況を確認する。王宮では求婚者たちがペネロペに結婚を迫り、テレマコスの存在も脅かされている。
オデュッセウスはテレマコスと再会する。最初は正体を隠していたが、自分が父親であることを明かす。オデュッセウスとテレマコスは、王宮を占拠している求婚者たちを排除するための準備を進める。
オデュッセウスは物乞いの姿のまま王宮へ入る。アンティノオスの前に姿を現し、シノンから託された兵士選抜のくじを見せる。オデュッセウスはシノンの死とアンティノオスの行動を結びつけ、くじをアンティノオスへ返す。
ペネロペは求婚者たちに対し、オデュッセウスが使用していた弓を使った競技を行うと告げる。求婚者たちは弓を扱おうとするが、弓を張ることができない。物乞いの姿をしたオデュッセウスが弓を手に取り、弓を張ることに成功する。
オデュッセウスは弓を使い、求婚者たちの前で正体を明らかにする。テレマコスもオデュッセウス側につき、王宮内で求婚者たちとの戦闘が始まる。オデュッセウスとテレマコスは求婚者たちを攻撃し、次々に殺害する。
オデュッセウスとアンティノオスが一騎打ちとなり、オデュッセウスはシノンから託されたくじをアンティノオスに返した後、アンティノオスを殺害する。王宮に集まっていた求婚者たちは殺され、オデュッセウスとテレマコスは王宮を取り戻す。
オデュッセウスはペネロペと再会する。オデュッセウスはトロイア戦争で何が起きたのか、その後の航海で何が起きたのかをペネロペに伝える。トロイア攻略で多くの人間が死亡したこと、帰還の途中で仲間たちを失ったことも語られる。
オデュッセウスの前にはアテナの姿をした存在も現れる。アテナはオデュッセウスの旅に関わる存在として描かれるが、物語が進むと、トロイアで殺害された女神官との関係が示される。トロイア陥落時の出来事とオデュッセウスの記憶が結びつき、アテナの姿がオデュッセウスの前に現れていた理由も示されていく。
求婚者たちを倒した後、オデュッセウスはイタケの王として再び王座につくのではなく、テレマコスに王位を譲る。テレマコスがイタケの王となり、オデュッセウスはペネロペとともにイタケを離れる。
オデュッセウスとペネロペは船に乗り、トロイア戦争と長い航海で死亡した者たちを弔うために旅立つ。二人は西へ向かって航海し、イタケにはテレマコスが王として残る。オデュッセウスがペネロペとともに船でイタケを離れておしまい。
●感想
クリストファー・ノーラン監督らしく、現在と過去を行き来する構成が印象に残りました。トロイア戦争の出来事を先に見せてから、その後の航海やイタケでの出来事につなげるだけではなく、後から別の意味が分かるように場面を配置しているので、時系列を追いながら見るよりも、断片的に描かれた出来事を後からつなげていくような作りになっています。
怪物や神話的な存在が次々に登場して、巨大な怪物や海上での出来事など、かなり大規模な場面が続くので、神話をそのまま実写映画にしたようなスケール感がありました。
個人的に笑ってしまったのが、ロバート・パティンソン演じるアンティノオスが、落ちてきた武器を見て「盾だ」「槍だ」と確認して拾うように言う場面でした。
一方で、台詞はかなり難しく感じました。登場人物の会話が何を指しているのかをその場ですぐ理解できないところもありました。映像だけで展開が進む場面ならまだ追いやすいのですが、会話で設定を説明する場面が長く続くと、178分という上映時間がさらに長く感じられました。
特にシャーリーズ・セロン演じるカリュプソとの場面は、オデュッセウスがなぜそこに長く留まっているのか、二人の会話が物語全体の中で何を意味しているのかを理解するのに時間がかかりました。ゼンデイヤ演じるアテナについても、神として存在しているのか、オデュッセウスの記憶と結びついた存在なのかを考えながら見る必要があり、かなり説明が難しい人物だと感じました。
トム・ホランド演じるテレマコスについても、父親を捜すために旅へ出て、オデュッセウスがどこにいるのかを知るために情報を集め、最終的にイタケへ戻ってくる流れは描かれています。ただ、テレマコスの旅そのものが一本の冒険として大きく展開するわけではないので、「この旅は何のためだったのか」と感じる部分もありました。
その一方で、テレマコスの旅があるからこそ、父親が残した戦争の記録や、トロイアで何が起きたのかがイタケ側にも伝わり、終盤のオデュッセウスの帰還につながっていきます。単純に父親を捜す冒険として見るより、父親が残したものを息子が確認する話として見たほうが理解しやすかったです。
全体としては、怪物との戦いや海上の冒険だけを楽しむ作品というより、トロイア戦争から帰還するまでの出来事を複数の時間軸で描き、最後にそれぞれをつなげていく作品でした。神話そのものを知らない状態で見ると台詞や設定が難しい部分も多かったですが、トロイア戦争、オデュッセウスの航海、ペネロペとテレマコス、求婚者たちとの戦いというのを勉強的に見られるエンタメ作でした。
☆☆☆
鑑賞日:2026/09/13 イオンシネマ座間
| 監督 | クリストファー・ノーラン |
|---|---|
| 脚本 | クリストファー・ノーラン |
| 原作 | ホメロス |
| 出演 | マット・デイモン |
|---|---|
| トム・ホランド | |
| アン・ハサウェイ | |
| ロバート・パティンソン | |
| ルピタ・ニョンゴ | |
| ゼンデイヤ | |
| シャーリーズ・セロン |

