ドラマ【波の音色】感想(ネタバレ):台湾人監視員の戦争と裁判

Three Tears in Borneo
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●こんなお話

 北ボルネオで捕虜監視員となった台湾人三兄弟が、戦後に捕虜虐殺事件の容疑者として裁かれ、その真相を追う話。

詳細ネタバレあらすじ

 戦争が終わった後の北ボルネオで、オーストラリア軍が日本軍の捕虜収容所跡を調査する。壕の中から多数の遺体が発見され、収容所で捕虜の監視を担当していた台湾人たちが事件の関係者として取り調べを受ける。新海志遠も逮捕され、戦時中に何が起きたのかを問われることに。

 戦時中。志遠、新海輝、新海木德の3人は台湾からボルネオへ向かい、日本軍の捕虜監視員として働く。3人は同じ「新海」という姓を使っているが、血のつながった兄弟ではなく、台湾からともに派遣された仲間だった。

 ボルネオの捕虜収容所で、3人は連合軍側の捕虜を監視する。輝は日本軍の指示に従い、通訳などの仕事も担当する。日本軍から評価されて立場を上げ、監視員たちをまとめる立場になる。

 志遠は収容所で捕虜に食料を渡す。収容所には中華民国の外交官である羅進福と妻の何景儀、子供も収容されている。志遠は何景儀と子供に食料を分けて渡す。何景儀が食料を盗んだことで日本兵から暴力を受けると、志遠は彼女と子供を助けようとする。

 羅進福は日本軍に協力する台湾人監視員を警戒し、特に日本人として振る舞う輝を批判する。輝は日本の教育を受け、日本人として生きてきたことを主張する。志遠は日本軍の命令を受けながら捕虜への対応を続け、木德も2人とともに収容所で働く。

 戦況が悪化すると、日本軍は収容所から移動することに。連合軍の攻撃を受ける中、捕虜も移動させられる。負傷して歩けない捕虜について、日本軍の指揮官である田中徹から処分を指示する言葉が出される。輝はその命令を受け、捕虜を処分する役割を担う。

 捕虜たちは壕へ集められる。何景儀と子供も壕へ連れて行かれる。志遠は何景儀を助けようとするが、何景儀は子供を抱えたまま壕に残る。

 輝は日本兵から命令に従うよう迫られる。輝は志遠に銃を渡し、捕虜を撃つよう命じる。志遠はほかの台湾人監視員とともに壕へ向けて発砲する。何景儀と子供も壕の中で死亡する。

 戦後の裁判では、捕虜の死亡について誰がどのような命令を出したのかが争点になる。オーストラリア側の検察官、日本側の弁護士、中華民国側の関係者がそれぞれ事件について証言を求める。日本側の弁護士は、日本軍の上官による具体的な殺害命令が確認できないことを主張し、台湾人監視員側に責任があるという形で事件を扱おうとする。

 若い弁護士の渡邊直人は事件の経緯を調べ、志遠だけに責任を負わせることについて疑問を持つ。裁判が進むにつれて、収容所での命令系統と台湾人監視員たちが置かれていた状況が明らかになっていく。

 志遠は壕で起きた出来事について証言する。捕虜を殺害する意思が自分にあったわけではなく、日本軍からの命令に従って行動したことを説明する。

 輝も裁判で自分が日本軍の命令を受けて行動した経緯を明らかにする。日本軍の一員として扱われるために命令に従ってきた輝だったが、戦後の裁判では台湾人監視員として責任を問われる。

 木德にも判決が下され、死刑となる。刑の執行を前に木德は拘束を振り切って走り出し、海へ向かう。木德は逃亡を図ったとして銃撃を受け、死亡する。

 輝にも死刑判決が下る。処刑を前に志遠と再会した輝は、台湾へ戻ったら普通に暮らすよう志遠に伝える。また、壕で志遠に渡した銃について、銃には弾が入っていなかったと伝える。輝はその後、絞首刑を受ける。

 志遠については、田中徹の証言などから事件の責任関係が改めて扱われ、死刑ではなく10年の懲役刑となる。志遠は刑務所で10年間を過ごし、その後釈放される。

 刑期を終えた志遠は台湾へ戻る船に乗る。戦争へ向かう前の時間へ回想。台湾からボルネオへ向かう船の上で、志遠、輝、木德が日本名を決めた場面が描かれる。3人が血のつながった兄弟ではなく、ともに台湾から派遣された仲間だったことが明らかになる。

 3人は船の上でボルネオへ向かい、戦争を経て台湾へ戻るのは志遠だけとなる。志遠は一人で帰国する船に乗り、物語はおしまい。

●感想

 終始重たい内容で、5話を通して見るのがかなり辛かったです。

 特に印象に残ったのは、捕虜収容所でどのような命令であっても日本軍の上官から命じられれば従わなければならない状況。志遠たちが自分たちの判断だけで行動しているわけではなく、上からの命令によって捕虜の処遇に関わっていくため、見ていてかなり重く感じました。

 最終話の長い裁判も見どころでした。誰がどのような命令を出したのか、実際に誰が何をしたのかが証言によって少しずつ整理されていく展開は緊張感があります。

 特に、明確に「殺せ」と命令されていなくても、状況から命令の意味をくみ取って実行しなければならない立場が描かれているところは印象に残りました。さらに、本人たちが捕虜を殺したくなかったこと、それでも結果として虐殺に加わることになったことを訴える場面には力がありました。

 一方で、捕虜虐殺について「誰が、どのように事件を起こしたのか」という真相が最後に明らかになっていく構成として見ると、個人的にはそこまで大きな驚きはありませんでした。裁判によって事実関係を整理していく部分は見応えがあるものの、謎が次々に解けていくタイプの作品を期待すると、少し違った印象になると思います。

 映像も安っぽかったり違和感を感じたりすることがなく普通に当時の収容所に見える美術や映像も凄かったです。

 戦時中の収容所での出来事と戦後の裁判を並行して描くことで、同じ事件が立場によってどのように語られるのかが描かれている作品でした。特に最後まで続く裁判のやり取りが、この作品の大きな見どころのドラマシリーズでした。

☆☆☆

鑑賞日:2026/09/17 U-NEXT

監督スン・ジエハン
出演ウー・ハンリン
アキラ・ファン
エドワード・チュウ
リエン・ユーハン
アンドリュー・チョウ
塚原大助
松大航也
シー・ミンシュアイ
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