●こんなお話
恋人が強盗犯に誘拐されたので助けようと頑張る銀行員の話。
●感想
“ネイト” ケインは、生まれつき痛みを感じない先天性無痛症を抱えながら、サンディエゴの信用組合で副支店長として働いている。舌を噛み切らないように固い物を避け、三時間ごとにアラームを設定してトイレに行き、怪我に気づかず重症化しないよう鏡で全身を確認する生活を送っている。職場では同僚のシェリーに好意を抱きながらも距離を縮められずにいたが、ある夜バーに誘われたことをきっかけに急接近し、二人は一夜を共にする。
翌朝、ネイトが出勤すると三人組の武装強盗が銀行を襲撃する。リーダーのサイモン・グリーリーは支店長ナイジェルに金庫の暗証番号を要求するが拒否され、その場でナイジェルを射殺する。シェリーが人質に取られたため、ネイトは暗証番号を教える。犯人たちは現金を奪い、シェリーを連れ去って逃走する。
ネイトは撃たれた警官の止血を行ったあと、警察車両を奪って単独で追跡を開始する。逃走中に一味が分散し、ネイトは犯人ベンをレストランの厨房に追い詰める。揚げ油を浴びて腕に重度の火傷を負いながらもひるまず、格闘の末に銃を奪ってベンを射殺する。
ネイトは友人ロスコーの協力でベンのタトゥーから刺青師ゼノを突き止め、ベンの本名と住所を入手する。ベンの自宅に侵入するが、仕掛けられた罠にかかって拘束される。そこへ兄のアンドレが現れ、ネイトを殴打し電動工具で拷問するが、ロスコーが駆けつけてアンドレを撃ち倒す。駆けつけた刑事ミンシーらにロスコーが拘束され、その混乱の中でネイトは逃走する。
ネイトは自動車整備工場でサイモンとシェリーを発見する。そこでシェリーが共犯だった事実が明らかになる。彼女は最初から金庫番号を得る目的でネイトに近づいたが、次第に本気で好意を抱くようになり、ナイジェル殺害を後悔していると打ち明ける。サイモンはネイトを射殺しようとするが警察が突入し銃撃戦になる。サイモンは警官を撃って救急車を奪い、ネイトを拘束したまま逃走する。
救急車内でネイトは除細動器を利用して運転席に電気ショックを与え事故を起こす。停止した車内でサイモンと格闘になり、腕を骨折させられる。ネイトは自らアドレナリンを注射し、折れた骨を突き刺してサイモンを殺害する。直後に意識を失う。
病院で目覚めたネイトは全身ギプス姿で、複数箇所の骨折と火傷の治療中だと知らされる。負傷警官を救った行為が考慮され、六か月の自宅軟禁と執行猶予付き判決を受ける。一年後、刑務所にいるシェリーを面会し、初デートで食べたチェリーパイを分け合う。彼女の刑期は残り八か月であると告げられ、面会室で楽しげに過ごしておしまい。
無痛症という設定を、単なるギミックではなく物語の駆動力にしている点がまず印象的でした。三時間ごとのアラームや、食事で喉を詰まらせないよう注意する描写から始まり、徹底して日常の管理を描くことで、ネイトの人生がいかに慎重で孤独だったかが伝わってきます。その彼が恋をきっかけに一線を越え、傷だらけになりながら強盗犯を追う展開は非常に引き込まれました。
火傷や刃物、矢が刺さっても動き続ける姿は視覚的なインパクトが強く、痛みを感じないことの異様さがアクションに直結しています。ただし、無敵ではない設定のはずが結果的に超人的に見える場面もあり、リアリティの受け止め方は観る側を選ぶかもしれません。
それでも約100分、ネイトが一人ずつ関係者を追い詰め、倒れ、また立ち上がる流れはスピード感がありました。派手なヒーロー像ではなく、ボロボロになりながら進む姿がこの作品の魅力だと感じます。恋愛と犯罪劇を結びつけた構造も明快で、娯楽作としてしっかり楽しめる一本でした。
☆☆☆
鑑賞日:2026/02/18 WOWOW
| 監督 | ダン・バーク |
|---|---|
| ロバート・オルセン | |
| 脚本 | ラース・ジェイコブソン |
| 出演 | ジャック・クエイド |
|---|---|
| アンバー・ミッドサンダー | |
| レイ・ニコルソン | |
| ジェイコブ・バタロン |

