●こんなお話
事件を見て見ぬふりをした人々が、罪の意識と超常の報いに追い詰められる話。
●感想
カトリック信者の女性ケイトリンは、幼い頃に父を殺された過去を抱えながらも、恋人と穏やかな日々を送っていた。ある朝、恋人と共にランニングをしていた公園で、男性が暴行される場面に遭遇する。助けを呼ぼうとするものの、恐怖に体が動かず、彼女は他の通行人と同じようにその場を立ちすくんでしまう。結果、男は命を落とす。
事件後、ニュースでは目撃者たちの存在が報じられ、世間から「なぜ誰も助けなかったのか」と非難が広がる。ほどなくして、その目撃者の一人が不可解な死を遂げ、続いて別の目撃者たちも次々と不審な最期を迎える。ケイトリンは自分にも危険が迫っていると感じ、警察に訴えるが、まともに取り合ってもらえない。
その頃から、彼女の周囲では説明のつかない出来事が起き始める。夜ごと部屋に響く見知らぬ声、鏡越しに感じる誰かの視線、そして壁に浮かび上がる血文字のようなメッセージ。ケイトリンは次第に、あのとき助けられなかった男性の霊が目撃者をひとりずつ呪っているのではないかと感じ始める。
彼女は逃げるように日常を過ごしながら、やがて自らの罪悪感と向き合うことを決意する。事件の真相を探るうち、加害者の一人を突き止めるが、彼もすでに何者かに襲われていた。現実と幻覚の境界が曖昧になり、ケイトリンは自分が見てきたものの正体に迫っていく。
終盤、彼女は真犯人と対峙し、過去と現在が重なり合う中で決着を迎える。しかし最後の場面で、病室に横たわる真犯人のもとへ、かつての目撃者の一人が訪れ、冒頭の事件について、自らが犯人を雇って襲撃したことを語る。罪の連鎖がまだ続いていることを示すように物語はおしまい。
全体として、サスペンスと超常現象のあいだを行き来する構成ですが、どちらにも明確に振り切らない作りになっていました。恐怖よりも罪の意識に焦点を当てた静かなドラマとして見ると、少し異なる印象を受けるかもしれません。
物語のテンポは穏やかで、派手な展開や驚きよりも、ケイトリンが少しずつ追い詰められていく心理描写に重きが置かれています。ただ、恐怖演出やミステリーの仕掛けは控えめで、超常現象としての迫力や不気味さはあまり感じられませんでした。
ラストの解釈を観客に委ねる終わり方も印象的で、罪と赦しという宗教的なテーマが静かに流れています。もう少し人物同士の関係性や出来事の因果が深く描かれていれば、物語の重さがより伝わったように思います。淡々と進む構成の中に、恐怖よりも静かな苦悩を描こうとした姿勢には誠実さを感じました。
☆
鑑賞日:2025/10/17 U-NEXT
| 監督 | ジェフリー・レディック |
|---|---|
| 脚本 | ジェフリー・レディック |
| 出演 | コートニー・ベル |
|---|---|
| スカイラー・ハート | |
| ウィル・スタウト | |
| ジェレミー・ホルム |

