●こんなお話
弟が失踪して人探しボランティアとして活動している主人公とか友人の塾講師や記者が再び山に入っていく話。
●感想
兒玉敬太は、幼いころ弟・日向と山で遊んでいたときに突然弟が姿を消すという出来事を経験する。弟はそのまま行方不明となり、真相は分からないまま。大人になった敬太はその出来事に囚われ続け、失踪者を探すボランティア活動をするようになっていた。
ある日、敬太のもとに母から荷物が届き、その中には古いビデオテープが入っていた。映像には幼い敬太が父のビデオカメラで撮影した姿が収められており、その中には日向と廃墟でかくれんぼをしているシーン、そして日向が消えてしまう瞬間までもが残されていた。
敬太と同居する友人・天野司は霊感を持ち、このテープにはただならぬ気配があると感じ取る。司は「深入りしない方がいい」と警告するが、敬太は聞き入れず、真相を追おうと決意する。そこへ新聞記者の久住が関わってくる。彼は敬太の過去やテープの存在を知り、二人とともに日向の失踪が起きた山を訪れることになる。
山へ向かう前、敬太と司は母親の家を訪ねるが留守で会うことはできなかった。やがて母が自ら命を絶ったことを司が発見する。しかしその後も母の幽霊のような存在に話しかけられるなど、現実と幻が入り混じる体験をしていく。
探索を進める中で、山中で骨壺のようなものが捨てられている場所を見つける。夜は民宿に泊まるが、電話を通じて聞こえてくる声が歪んでいたり、久住への電話が「山へ行け」と誘導するように響くなど不可解な現象が続く。民宿の息子が自分の祖母が山で不可解なことがあったことを語る。司は敬太が探索によって何かに取り憑かれていると感じ、警戒を強める。
ついに廃墟にたどり着いた三人。久住は腕を何者かに掴まれる怪異に襲われ、敬太は幻のように弟を目にする。しかし司は「弟はすでに死んでいる」と断言し、敬太を目覚めさせようとする。ところがその司自身が廃墟に取り込まれるように姿を消し、物語は終わりを迎える。
感想としては、序盤から不穏な空気が漂い、じわじわと怖さを感じさせる雰囲気がよかったです。音や映像の歪みなど、VHSの荒い映像が日常が少しずつ狂っていくような演出には背筋が寒くなるものでした。
ただ一方で、物語全体に大きな見せ場が少なく、淡々とした調子が続いたため、集中力を保つのが難しい部分もありました。展開に抑揚があまりなく、観ているうちに緊張感が途切れてしまうところもあったのは率直な感想です。それでも不可思議な体験を描く映像世界に身を置く時間は独特で、作品としての空気感を味わうことができました。
☆☆
鑑賞日:2025/09/20 Amazonプライム・ビデオ
監督 | 近藤亮太 |
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脚本 | 金子鈴幸 |
原案 | 近藤亮太 |
出演 | 杉田雷麟 |
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平井亜門 | |
森田想 | |
藤井隆 |