映画【清須会議】感想(ネタバレ)

●こんなお話

　織田信長が本能寺の変で討ち死、長男の信忠も討ち死にして、これからの織田家の当主を誰にするのか決めていく会議の話。

●感想

　本能寺の変が起こって信長と信忠が亡くなって、山崎の戦いで明智光秀を羽柴秀吉が討つ。光秀を討ち取った功績が秀吉にある状態から始まって、織田家筆頭家老の柴田勝家がちょっと後れを取る。

　そこから清須会議で秀吉と勝家がそれぞれ自分が推す織田家の次男と三男をどっちが棟梁にするのかでお互いで評取り合戦をしていく。

　重臣の滝川一益の到着を待つ間に旗取りゲームをしたり。そして会議が始まって次男三男を現場から外して、勝家側だった丹羽長秀の１票で決まるという流れになって、黙っていた長秀が秀吉が推すことになった信忠の長男に一票を入れて決着。秀吉が子どもに好かれて、信忠の長男を抱きかかえての「図が高い！」の構図。

　その後お市の方が勝家に秀吉暗殺を頼んで、それを察知した前田利家が秀吉に忠告して暗殺者集団を撃退して、秀吉が勝家に助けを頼んだり。そして勝家が自分の城に戻るときに秀吉が挨拶しておしまい。

　三谷監督らしい豪華キャストが配役していて、合成された綺麗な青空の中を派手な衣装で動く役者さんたちは見ものでした。 柴田勝家と羽柴秀吉がそれぞれ信長の次男と三男を担いで勢力争いの合戦。お互いをけん制しながらコミカルなお芝居をしていく三谷監督お得意のお笑いなのがよかったです。

　三谷作品に期待する伏線をうまく使った笑異みたいなものは少なく、役所広司さんは大声で叫んでるだけにしか見えないし、特に酷いのは暗愚な次男を演じる妻夫木聡さんなんか馬鹿な男すぎて引いてしまいました。それにそもそも、この票取り合戦自体が見ていてそんなに面白味を感じることができないのが痛かったです。 秀吉が勝つことがわかっていて、それ通りに進んでいく話。

　主人公たちの家臣や仲間たちが向こうがああ動いたからこっちはこうだ、というのを交互に見せていく。旗取り合戦をしたり、会議に間に合わない滝川一益が走る姿を延々と映ったり。
　そしていよいよ清須会議。最初はこういう考えだった人物が考えをひっくり返して、みたいな流れですが。そんなに意外性でもないし、動的な盛り上がりもそんなに感じなかったです。
　むしろ秀吉嫌いなボクは、秀吉がだんだんと勝利していく様子が見ててイライラするという。個人的な考えがノイズになってしまって集中できなかったです。

　クライマックスの清須会議が終わりそれぞれの立場が決まってからのエピローグ。秀吉と勝家がそれぞれの思いを向かい合わず隣同士で語るシーンは、織田家の思いや天下を獲る野心がぶつかりあいながらもほんのり感動するシーンでよかったと思いました。アクションシーンもあることはありますが、これまたギャグとしての設定だし、それがまた笑っていいのか微妙なのが面白さをどんどんと下げていってしまうものだったと思います。

　柴田勝家の主君に対する忠誠心、秀吉の天下獲りの野心、丹羽長秀の勝家との友情、日和見主義の池田輝政の会議での決断、それぞれの女性たちの動き。前田利家や前田玄以が会議を外野から見ている。次男、三男の信雄、信孝それぞれの気持ち。そのぶつかいあいをがっぷり四つで見たかったですが、軽いコメディに盛り上がりのない作劇と重厚な時代劇と三谷監督の良さを消してしまうようなモチーフだったと思う映画でした。

☆☆

鑑賞日: 2013/11/07 試写　 2016/10/13 NETFLIX　2023/10/25 Amazonプライム・ビデオ