映画【座頭市(2003)】感想(ネタバレ)

The-Blind-Swordsman-Zatoichi
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●こんなお話

 金髪の居合の達人がヤクザを殺していく話。

●感想

 ひとりのあんまが、街を牛耳る悪党どもを容赦なく叩き潰す勧善懲悪の物語でした。しかし、ただの時代劇に収まらず、そこはやはり北野武作品で。独特の間と不思議なギャグが織り交ぜられていて、どこか奇妙な感覚を覚える映画に仕上がっていたと思います。

 主人公の座頭市が街道を歩いてくると、主要人物たちが一斉に登場し、それぞれの背景や立場が一気に説明されるというスピーディーさ。その一幕を見るだけで、この映画が普通の時代劇とは一線を画していることが感じ取れます。

 座頭市はとにかく強く、賭場でイカサマをしている気配を感じただけで仕込み杖を振り回し、その場にいる者たちをまとめて倒してしまう。この圧倒的な非道さと無敵ぶりには、さすがに相手も怒るのも当然だと納得させられる強さでした。

 一方で、病気の妻を連れて旅をする浪人も登場。剣の腕は一流で、敵に雇われる運命にあるという設定は、座頭市シリーズではおなじみ。だが彼の過去が語られる回想シーンでは、これまでの時代劇とは一味違う理由が明かされ、興味を引かれました。

 さらに、三味線を奏でながら旅する姉弟も登場。彼らにも過去に悲劇があり、復讐のために敵に近づいていく。彼らを取り巻くチンピラたちの存在など、展開そのものは時代劇らしいもので目新しさは少ないかもしれないですが、わかりやすくて楽しめました。

 そして何より驚かされるのは、座頭市の立ち回りの激しさ。冷酷さと無慈悲さを携えながら無双する姿は、まるで時代劇のターミネーター。そんな異質な強さと静かな情感が混ざり合った、独特の作品でした。

☆☆☆

鑑賞日:2013/02/28 DVD

監督北野武 
脚本北野武 
原作子母沢寛 
出演ビートたけし 
浅野忠信 
橘大五郎 
大家由祐子 
ガダルカナル・タカ 
大楠道代 
柄本明 
岸部一徳 
石倉三郎 
夏川結衣 
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