ドラマ【ボバ・フェット/The Book of Boba Fett】感想(ネタバレ):復活の賞金稼ぎと裏社会の抗争を描く2軸ドラマ

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●こんなお話

 賞金稼ぎのボバ・フェットが新しいボバ・フェットとして人望で街を治めていく話。

●感想

 『ジェダイの帰還』でサルラックに飲み込まれて退場したボバ・フェットが、生還して再びタトゥイーンに現れる。その復活の物語と、ジャバ・ザ・ハットの後を継いで裏社会の支配者として動いていく2つの時間軸が交互に描かれていく全7話構成のシリーズです。

 物語はアーマーを失ったボバ・フェットがタスケン・レイダーに捕らえられるところから始まり、やがて彼らと心を通わせ、部族の一員として迎えられていく。いわゆる「白人酋長もの」的な展開がタトゥイーン風に描かれ、文化への敬意や信頼がしっかりと描かれているのが印象的。タスケンたちとの交流によって彼の価値観が変わっていく過程が丁寧に積み上げられています。

 現代パートでは、かつての賞金稼ぎであるボバ・フェットが、恐怖ではなく尊敬と信頼によって支配を築こうとする姿勢が軸となる。ジャバの宮殿を拠点に、次第に拡大するシンジゲートとの対立に備えて仲間を集めていく。ドロイド、バイクチーム、旧知の用心棒など、さまざまな顔ぶれが揃っていく過程は見ていて楽しく、アクションも毎話しっかりと盛り込まれていてテンポ良く見られました。

 ただ、シリーズ後半に入ると、突如として『マンダロリアン』の物語が主役のようになり、ボバ・フェット自身の出番がほとんどなくなってしまいました。グローグーやルーク・スカイウォーカーの登場などファンサービスは多いが、「これは誰の物語なんだろう?」と疑問を持たせる展開でもあったり。

 クライマックスのパイク・シンジゲートとの戦いは、仲間たちと力を合わせて挑む大一番。だが、絶体絶命のピンチに仲間が次々と登場して助けてくれるという「援軍の繰り返し」に頼りがちな展開と、銃撃戦メインのアクションがやや単調に感じたのは惜しいです。

 『クローン・ウォーズ』を視聴しているとニヤリとできるキャラクターが登場する場面も多く、シリーズファンには嬉しいですが、未見の視聴者には置いてけぼり感があるかもしれないです。

 「大名もの」としての縄張り争いの要素や、裏社会の支配構造などが魅力的ではあるが、最終話で急ぎ足に収束させるような展開で終わってしまい、少し慌ただしく感じました。

 結局は『マンダロリアン』のスピンオフ的な位置づけで、ボバ・フェットが主役ではあっても、少し影が薄く感じられる作品になってしまっていると感じました。とはいえ、銀河の片隅で生きる者たちのドラマとして、一定の魅力はあり、スター・ウォーズファンなら見て損はない1本でした。

☆☆☆☆

鑑賞日:2022/02/12 Disney+ 2024/01/22 Disney+

製作総指揮ジョン・ファブロー
デイヴ・フィローニ
ロバート・ロドリゲス
キャスリーン・ケネディ
コリン・ウィルソン
出演テムエラ・モリソン
ミン・ナ(ミンナ・ウェン)
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