映画【ファンタスティック・フォー 銀河の危機】感想(ネタバレ):結婚と異常気象、そして銀の使者──新たな試練に立ち向かうヒーローたちの物語

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●こんなお話

 主人公たちが普通の生活がしたいと悩んだり地球食べマンが現れたりする話。

●感想

 続編として制作された本作は、前作で世界中から注目を集めたスーパーヒーローたちが、その名声をさらに広げていく様子から始まる。物語の導入では、主人公の2人が結婚を控えており、その話題はメディアを巻き込み社会現象のように騒がれていた。しかし、当のヒロインはあまりにも過熱する周囲の注目に疲れてしまい、結婚式の準備を進めながらも心中穏やかではない日々を送っていた。

 一方で、地球規模で異常気象が発生し始め、雪が降らない地域に雪が舞い、晴天が続くはずの空に不吉な雲が立ち込めるなど、世界中が不安に包まれる現象が次々と起こっていく。その異変の背後には、銀色に輝く謎の存在「シルバーサーファー」が関係しているらしく、彼の動きに注目が集まっていく。

 映画は全体で90分あまりの尺ながら、テンポよくヒーローたちの活躍が描かれており、人命救助の場面や能力に悩む姿など、ヒーローものとしての魅力がコンパクトに詰め込まれている印象です。アクションも派手すぎず、それでいて爽快感はしっかり感じられる構成で、肩肘張らずに楽しむことができました。

 そのなかでも、物語の中盤に登場するシルバーサーファーの存在は、物語の空気を一変させます。当初は地球の脅威とされ、主人公たちも彼の動きを止めるべく行動するのですが、ヒロインとの偶発的な接触により彼の行動には悪意がないことが徐々に明らかになっていきます。その描写がやや急で唐突に感じられるところもありましたが、彼が地球の破壊を止めようとする側に回るという展開は、物語に複雑な奥行きを加えていたようにも思えます。

 また、ジョニーがシルバーサーファーと接触したことで、チームメンバーとの能力が入れ替わってしまうという設定も加わり、一時はチームとしての機能が揺らぎます。ここでは少しコミカルな要素も交えて、作品全体のバランスを整えていたように感じました。こうしたユーモアの挿入も、続編ならではの工夫かもしれません。

 やがて、前作で対立した宿敵が再び登場し、今度はシルバーサーファーの力を狙って動き出すことで、主人公たちは軍と協力しながら再び戦いに挑むことになります。このあたりの流れもスムーズに描かれていて、テンポのよさは最後まで保たれていました。

 ただ、クライマックスにあたる終盤の展開において、4人の能力を1人に集中させて戦うというアイデアにはやや驚きがありましたが、チームプレーが持ち味の作品としてはやや寂しい気持ちにもなりました。そしてシルバーサーファーが自らの存在を光のように燃やして敵に立ち向かう場面も、ドラマチックではあるものの、どうしてそこに至ったのかという描写がもう少し欲しかったところです。

 個人的には、作品全体がとても軽やかにまとまっていて、スナック感覚で楽しめるエンタメ作品だったと感じています。前作に続いて再登場するキャラクターたちのやり取りも健在で、細かい理屈抜きに楽しみたい時にぴったりな一本でした。

☆☆

鑑賞日:2021/11/18 Disney+

監督ティム・ストーリー 
脚本ドン・ペイン 
マーク・フロスト 
製作総指揮スタン・リー 
ケヴィン・ファイギ 
クリス・コロンバス 
出演ヨアン・グリフィス 
ジェシカ・アルバ 
クリス・エヴァンス 
マイケル・チキリス 
ジュリアン・マクマホン 
ケリー・ワシントン 
アンドレ・ブラウアー 
ローレンス・フィッシュバーン 
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