●こんなお話
いじめ自殺事件を追いかけるドキュメンタリー監督がテレビ局が自己批判できずに狙ったものが作れない苦悩だったり、父親が経営する学習塾で問題が起こってこれまた大変な話。
●感想
川辺でリコーダーを吹く男性を撮影するクルーがいて何やら主人公が男性にインタビューしている。どうやらいじめ事件で自殺した人がいて、その遺族に話を聞いている。
自殺した女子高生がいて彼女と関係を持った教師もいてその教師も身の潔白を証明するために自殺したので、遺族に話を聞きに取材をしている。
役者さんの素晴らしさを堪能できて、遺族という心情を見ている観客に伝える圧力が凄くてどうやって撮影したのかが気になる役者さんやスタッフさんたちの凄さがずっしりとヘヴィーでした。
主人公のお父さんが経営する学習塾のお手伝いをしていて、ある日、その生徒の1人が倒れてしまう。彼女からある秘密を打ち明けられて、こっちはこっちで大変なことになっていく。
いじめ事件の遺族がネットやマスコミの取材で疲れ切って逃げまどうように生活する辛さ苦しさを静かに丁寧に淡々と描かれていきます。それにプラスして主人公自身が父親が起こした事件をどうにかしようとする。生徒と関係が深まって生徒の父親とも信頼関係を築いていく。このお父さんも怖いんだけど、しっかりとしたことがあって、勧善懲悪ものだと悪役になりそうですが、そういうことでもなく。法律で裁かれるだけではなく、それ以上に社会的制裁で周りが潰されていく日本社会の怖さ。
やっとこさドキュメンタリーが完成して放送まであと少しというところになったところで女子高生の友達から女子高生はうそつきであると話されたりして信頼が揺らいでいく。さらに遺族の1人がこれまたある秘密を打ち明けてすべてがひっくり返っちゃって。
人間がどれもかれも嘘をついたり性欲全開だったりとどうしたら上手いこと社会が回っていくのかと生きていく難しさを描いていて、ただただ辛い2時間30分でした。
そして中絶するのに人にバレたくないと怪しい薬を入手しようとして独自にお医者さんに相談して何とかしようとしますが、中絶するのがバレたくないからというくらいなら県外へ行ったりなんとでもなりそうですが、もっと他に手はなかったのかな? と考えてしまいました。
派手な演出や展開はないですが、単純にストーリーと役者さんのお芝居で2時間30分退屈せずに魅せつける力作なのは間違いなく、それにしてもテレビ局のプロデューサーってこんなに態度が悪いのかと勉強になる映画でした。
☆☆☆☆
鑑賞日:2021/10/13 109シネマズ川崎
監督 | 春本雄二郎 |
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脚本 | 春本雄二郎 |
プロデューサー | 春本雄二郎 |
松島哲也 | |
片渕須直 |
出演 | 瀧内公美 |
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河合優実 | |
梅田誠弘 | |
松浦祐也 | |
和田光沙 | |
池田良 | |
木村知貴 | |
前原滉 | |
永瀬未留 | |
河野宏紀 | |
根矢涼香 | |
川瀬陽太 | |
丘みつ子 | |
光石研 |